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MBAはコンサルにとって必要か否か?|MBAの今昔

MBAはコンサルにとって必要か否か?|MBAの今昔

コンサルにとってのMBAの価値とは何か考えてみました

コンサルになるための特別な資格は必要ありません。資格ではないものの、昔から「持っていると有利」と、よく言われるのが皆さんよくご存じのMBA(Master of Business Administration / 経営学修士)です。外資系戦略ファーム等ではハーバードやスタンフォード等、海外の超一流ビジネススクールのMBAホルダーが多い、という事実もあります。
MBAを持っていると有利なのか、改めてこのことについて考えてみたいと思います。

MBAの動向

近年、海外MBAを目指す若い人が大きく減少しています。少し古いデータですが、欧米のビジネススクールを受験する際に必須となっているGMAT試験の日本人受験者数の推移は、2002年に延べ5620人だった受験数が、11年は2518人と半分まで落ち込んでおり、その後も減り続けています。
GMAT試験を運営しているGMAC(Graduate Management Admission Council)は、日本人受験者数の減少について、「日本では、少子化でビジネススクールを受験する世代の人口(20代後半)が少なくなっているから」と言っていますが、理由はともあれ分母がここまで減ることの影響は大きいですね。
一方で、グロービスによれば、国内MBA出願者(推定)は2003年から2006年にかけて倍増したものの、2009年頃からは専門職大学院制度の拡充によってオーバーキャパシティとなり、定員割れの大学が半数近くを占めるようになった、とのこと。直近での正確なデータはありませんが、海外MBAホルダーが大幅に減少する一方で、国内ホルダーは増え続け、毎年3,000人以上の国内MBAが誕生している模様です。

つまり、海外MBAは大幅減、国内MBAは大幅増となっているのです。
こうしたマクロ的な動きも踏まえて、コンサルにおけるMBAの価値を考えてみたいと思います。

MBAがコンサルに有利な理由

MBAというと真っ先に出てくるのが、ケーススタディという授業の方法です。これは、ハーバードビジネススクールで有名になった教育方法で、ケースと呼ばれる、主に企業の過去に実際に起きた経営事例を使い、学生自らの視点で、「あなただったらどうするか、何が問題だったのか」といったことを考えることを通じて、リアルな経営における課題発見・解決能力を養ったり、その過程で理論やビジネスモデルを当てはめたりすることによって経営者に必要な知識を身に付けていくものです。
2000年初頭くらいまでは、ビジネススクールの教授やマッキンゼーやBCG等の戦略系ファームが、メソドロジーやフレームワークといったもので、企業の戦略を一種の型として提示し、ケーススタディの中でも取り扱う、というようなことが行われていました。

PPM、3C、4P、5forces analysis等は典型的な例で、これらの普及においてビジネススクールや戦略系ファームが果たした役割は非常に大きなものだったと言えるでしょう。
また、MBAで徹底的に学んだ過去の事例は、経営者にアドバイスをするコンサルには大きな武器になっていました。
クールなイメージ満載で、フレームワークやメソドロジーは、まさにコンサルの真骨頂であり、これらがコンサル人気に繋がったのではと思うくらいです。
コンサルティングファームも、特に戦略系は一流ビジネススクールのMBAホルダーを積極的に採用していましたし、それは今でも変わりません。

ビジネス環境の劇的な変化がMBAに与えた影響

ところが、最近はこうしたフレームワーク的なものを見かけることがほとんどなくなりました。理由は色々あると思いますが、やはりインターネットをはじめとするテクノロジーの大きな変化、驚異的なビジネススピード、SNSの普及等によって、過去のビジネスモデルが全く通用しなくなったからというのが大きいと考えられます。
特にスマートフォンとSNSの登場がグローバルビジネスに与えたインパクトは相当なものでした。これらが登場するまでのグローバルビジネスとは、あくまでBtoB、そしてその先にある(BtoB)toCがメインで、わずかにBtoCが存在する程度でした。それが、今や消費者と消費者がダイレクトに繋がる、本当のグローバルビジネスの時代になりました。
例えばFintechといったソリューションによって、過去のビジネスモデルに縛られない考えというのも重要になってきます。

ビジネススクールのケーススタディで学ぶのはあくまで過去のこと。過去のビジネスを学んでいる間にもビジネスはどんどん進化していきます。そういう意味で、MBAで学ぶ知識自体の価値は以前よりも下がったと考えられるかもしれません。
習ったケースが全く使えなくなった、というようなことは国内のビジネススクールでもよく聞きます。

MBAの変化

MBAで身に付けられる知識の価値が下がったのなら、MBAはもはや価値がないのでしょうか。
世の中やビジネスが変わって、特に海外においては、ビジネススクール修了後の人気の就職先がコンサルや投資銀行からスタートアップへ変わり、MBAのカリキュラムもソーシャルビジネスの起業等にフォーカスを置くようになっているなか、MBAを取得することの価値も以前とは変わってきている、と考えて良いのではと思います。くれぐれも誤解しないでいただきたいのは、「価値が変わった」と「価値が下がった」、というのは全く違うということです。

MBA:その価値の本質

多くの海外MBAホルダーの友人達の話で共通しているのは、「MBAで最も価値があったのは、授業で身に付けた知識や経験ではなくて、『生き方のグローバルスタンダード』や『多様な価値観』を身に付けられたこと、その時知り合った超優秀な仲間」ということです。そして、この意見は20年くらいの間、世代は違っても変わっていない、という事実は、MBAの本質的な価値を考える上で、とても重要です。

まとめると、以下のようなことが言えそうです。
・ケーススタディ的な過去の知識やビジネス理論自体は、現在のビジネス環境には以前よりも役に立たない。

・MBAのカリキュラム(特に海外)もコンサルや投資銀行向けからスタートアップやソーシャル関連等へ変わっている。

・コンサルを目指すためにビジネススクールでマーケティングやファイナンス等の理論を学んでMBAを取得するというキャリパスは、既に過去のものとなっている。

・MBA最大の価値は、もともと理論や知識でないところにあり、それは今も変わらない。

MBAを取ろうかどうか考えている方も、もう取ると決めた方も、ご自身のキャリアを考える参考になれば幸いです。

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