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外資コンサルファーム(MBB、Big4など)の日本売上は世界全体の3~5%|コンサル市場規模2022年版~番外編①~

外資コンサルファーム(MBB、Big4など)の日本売上は世界全体の3~5%|コンサル市場規模2022年版~番外編①~

日本のコンサル市場規模調査。今回はMBB,Big4に関するスピンオフ編を公開

スキルがつきやすいといった理由以外に、潰しが利く、稼げる、モテるといった理由で(偏見ありすぎ)経済雑誌や様々なメディアを賑わすコンサル業界。高学歴の就職希望先ランキング上位の常連になっていますし、コンサルティング業界へ転職して一旗揚げようと考えている方々も多いのではないでしょうか。

そんなモテモテのコンサル業界ですが、そんなに業界は儲かっているの?コンサル業界の規模ってどんだけ―、と気にされている方もいらっしゃるかと思います。

当メディア運営企業であるコダワリ・ビジネス・コンサルティングでは、日本のコンサルティング市場規模について、各種情報源を収集・調査し、過去・現在(2017-2021)の市場規模の推定、及び今後の予測(2022-2027)を実施しています。この日本のコンサルティング市場規模推定・今後の予測の具体的な内容については、別途、本編を発信予定ですので乞うご期待ください!

本編には収まり切れずとも、“なるほど!”、“へぇ~!”という情報は、番外編として数回お届けします。本稿は番外編(本編の序章)として、MBB(*1),Big4(*2)の日本売上をグローバルから見た場合、どのような構成になっているのか、面白い発見がありましたのでお届けします。

*1:McKinsey & Company, Boston Consulting Group, Bain & Company
*2: PwC, Deloitte, KPMG, Ernst Young

MBB,Big4と欧州自動車メーカーの意外な共通点

図表1は「MBB, Big4の日本売上高」を示したグラフで、図表2は「MBB, Big4のグローバルから見た日本売上高の占める割合」を示したグラフです。

グローバル売上高については、各社公表値や外部情報を基にグローバル売上高(いづれもUS$ベース)を把握し、各決算年月末の為替レートで日本円に換算。

なお、売上数字が非公開の会社もあり(特に戦略系)、これは弊社にてヒアリング等も含め独自算出しております。

図表1MBB、Big4の日本における売上高[十億円]

外資コンサルティングファーム(MBB,Big4)の日本における売上高(2017-2021)

図表2 MBB, Big4のグローバルから見た日本売上割合

外資コンサルファーム(MBB, Big4)のグローバルから見た日本売上割合(2017-2021)

日本国内のコンサルティング市場規模推定に向けて各社情報を収集する前は、各社のグローバル戦略から日本売上割合は大きく異なるのではないかと考えていました。結果(図1,2)は仮説とは異なり、直近5年間における各社売上割合は3 ~ 5%程度と似通っていました(さらに各社とも概ね年々上昇傾向)。

このパーセンテージについて、欧州主要自動車メーカー各社の有識者に確認したところ、欧州主要自動車メーカー各社の日本における売上割合も同程度ということでした。なお、ベルギーに本部を構える自動車メーカーの業界団体「ACEA」が公開するデータを見てみると、EUのマニュファクチャラーにおける日本シェアではないものの、EU圏内製造の車両の日本における登録シェアも4.9%と示しています。

このように、グローバルから見た日本の売上高が同じように3 ~ 5%に収まることは非常に興味深いです。その他の業界についての情報は入手していないものの、グローバル戦略策定で日本売上目標を立てる際に、共通する重要なファクターがあるのではないでしょうか。

なお、参考までに日本GDPの世界に占める割合と相関があるか確認したところ、特に相関は確認できませんでした(内閣府直轄組織である経済社会総合研究所の公開情報「GDPの国際比較(2015 – 2020) 」)。

日本の売上高の見解を、業界ごとで分析し、より検証していくことで、見えてくるものは色々とあると考察しておりますが、時間のある時にこれも記事化したいと思います。

コンサルティング事業のみの日本売上割合は3~7%の上振れ

前章では、ファーム全体の売上高ということで、コンサルティング事業以外の数字も含めましたが、今回は、コンサルティング事業に限った数字を比較していきたいと思います。なお、コンサルティング事業単体での売上数字を非公開の会社もあり、その場合、弊社にて独自算出しております。

図表3 MBB, Big4の日本国内のコンサルティング売上高[十億円]

外資コンサルファーム(MBB, Big4)の日本国内のコンサルティング売上高(2017-2021)

図表4 MBB, Big4のグローバルから見た日本コンサルティング売上割合

外資コンサルファーム(MBB, Big4)のグローバルから見た日本コンサルティング売上割合

結論から言うと、グローバルから見た日本のコンサルティング売上割合は3%から7%の範囲にあります。年推移をファーム間で比較すると、PwC, DTC, McKinsey, BCG, Bain & Companyは上昇傾向、KPMG、Ernst Youngは停滞傾向に二極化しています。

特に、PwCやDTCにおいては、売上割合の期間上昇幅が+2.0%と大きいです
・Pwc:4.3%(2017)から6.5%(2021)
・DTC:3.0%(2017)から5.5%(2021)

日本のコンサルティング市場自体の成長という波をかなりうまく乗りこなせているか、日本のコンサルティング市場を重要視した活動の結果、と考えられます。日本のコンサルティング市場の拡大には様々な要因がありますが、この2社の売上高規模は、その一因として大きく影響を与えています。

ただし、ここの数字にはITコンサル領域の広さもあり、IT開発なのか、純粋なITコンサルなのかといったところは各社見解が違っており、弊社統計ですと、システム開発領域は含めておりませんが、明確な数字としてアウトプットされていないため、この見解による差異は少なからずあるものと考えられます。

コンサルティング・監査・税務セグメントでBig4売上高を算出

Big4に焦点を当てて、グローバル・日本双方のセグメント(コンサルティング・監査・税務)別売上を算出したのが、図表5,6になります。本当はこれにITコンサル領域を切り離してやりたかったものの、ITとして個別公開している会社が少なく、断念しました。

図表5「グローバル」で見ると、全ファームともコンサルティング割合は上昇傾向ですが、DTC(デロイト)は以前からグローバルでコンサルティング売上高割合が高いことが分かります。

また、図表6「日本単独」では、PwCは日本のコンサルティング市場を重要視していると考えられ、第二章の話とも紐づきます。

図表5 Big4グローバルのセグメント別売上割合(2017 – 2021年推移)

コンサルファームBig4のグローバルのセグメント別売上割合(2017 – 2021年推移)

図表6 Big4日本のセグメント別売上割合(2017 – 2021年推移)

外資コンサルファームBig4日本のセグメント別売上割合(2017-2021)

各社の分析で苦労した点~年次報告の呼び名は各ファーム三者三様~

非上場の各ファーム(グローバル、日本)における売上高を入手するにあたり、各ファームのホームページで公開資料を拠り所に探ました。

入手した各ファームの年次報告資料の呼び名は三者三様で、英語に疎い筆者は、当然のごとく情報を探し当てるのにかなりの時間を要することになりました。探し当てるのに苦労はしたものの、知れたことは良い学びとなりました。

こうしてまとめてみると、KPMG Japanだけグローバルに左右されない緩い感じでの名称で、個人的に嫌いじゃないです(笑)

図表5Big4各ファームの年次報告資料名(2017 – 2021)

ファーム グローバル 日本
Deloitte Global Impact Report Japan Impact Report
PwC Global Annual Review Japan Group Annual Review
Ernst Young Global Review,
Global Impact
Integrated Report
KPMG International Annual Review Our Story

まとめ

本稿では、日本のコンサルティング業界市場規模算定の番外編(序章)として、2017 – 2021年におけるMBB,Big4の日本売上高をグローバルから見た場合にどのように見えるのかについて解説してきました。

  • MBB, Big4 グローバルから見た日本売上割合は、3 ~ 5%
  • MBB, Big4 グローバルから見た日本のコンサルティング売上割合は、3 ~ 7%
  • MBB, Big4の中でも日本のコンサルティング売上割合を伸ばす企業と停滞しているファームの二極化
  • 売上割合を伸ばす企業の中でも、特にPwC,DTCは日本のコンサルティング市場に力を入れている印象

本稿を読んで、日本のコンサルティング市場規模はどうなのか今後の日本のコンサルティング市場は明るいか(成長しそうなのか、成長するならばどれくらいの成長予測なのか、等気になられた方は、後日投稿記事の本編をご期待ください。

[v183]

執筆者

S.M.
S.M.コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルティングカンパニー
SIer・ITコンサルファームでのキャリアを積む。大規模システム刷新プロジェクトにおける業務要求定義からシステム導入運用まで幅広いフェーズや大企業でのDXにおけるPgMOのリーディングや実務をこなす。業務・IT双方へ精通し、関係者との迅速な関係構築のうえ、両面からの業務改革支援に強みを持つ。
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