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日本のコンサルティング業界規模は、1兆5,761億円(2021年度)|コンサル市場規模2022年版~本編①~

日本のコンサルティング業界規模は、1兆5,761億円(2021年度)|コンサル市場規模2022年版~本編①~

日本のコンサル市場規模を算定。2017年~2021年で約1.6倍成長

前回、序章として「グローバルファームから見た際の日本のマーケットの立ち位置」について投稿しましたが、今回は、本編として2021年現在のコンサルティング業界市場規模をお届けします。本編は2部構成とし、今回は過去・現在の市場規模推定編(2017-2021)、次回は今後の市場規模予測(2022-2027)となっております。

本稿では、特に下記3点に言及し、示唆についても述べております。

・コンサル業界全体の市場規模
・コンサル領域別の市場規模内資・外資の占有率
内資・外資の占有率

早く結果が知りたい!という方は、3章「日本のコンサルティング市場規模は、1兆5,761億円(2021年度)」からご覧ください。

「日本のコンサル市場規模」執筆の背景

複数のマーケティング・リサーチ会社やシンクタンクから日本のコンサルティング業界の市場規模について調査報告が発信されておりますが、本メディア独自として確かな根拠の基、データを取得し、外部発信したく、今回自らリサーチを行いました。

今回の投稿目的は大きく二点となります。

・コンサルティング業界にいる方々に業界の全容と今後を把握してほしい
・コンサルティング業界に興味・関心のある方々に業界の現況を知ってほしい

本メディア運営でも、コンサルティング業界本を出版しており、その中でも市場規模については言及しておりますが、書籍執筆時(2021年11月)から情報収集範囲を広げ、かつ様々な観点を織込み、踏込んで市場規模推定した結果となっております。

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市場規模を推定にするにあたっての方針

コンサルティング業界でコンサルティングサービスの実務を通して培ってきた知見を基に、独自の見解も踏まえて以下の方針で市場規模を推定しています。

1.全体アプローチ
ピックアップした主要調査対象企業の売上高を取得・推定。これら主要企業が市場全体に占める割合を公的統計情報から推定し、日本のコンサルティング市場規模全体を算定。具体的には以下の通り。

2.調査対象企業
●日本国内で活動する内資・外資の主要なコンサルティング企業
 コンサルティング会社 カオスマップ2022を対象

3.調査対象企業の売上高推定方針
●推定方針
 ・企業公開情報(IR情報、統合報告書、Annual Report、会社案内、社員数、採用情報といった一次情報)から取得
 ・上記で取得できない場合は、弊社独自方針をもって推定売上高が複数コンサルティング領域で構成され、領域別の売上高を特定できないケースにおいては、企業の主要コンサルティング領域の売上高としてカウント
●外資売上高の考慮(外貨から日本円への換算)
 ・外資企業の売上高が外貨基準の場合、各社決算年月末日の為替レートで日本円に換算
●IT領域コンサルティングのコンサルティング以外の売上高考慮
 ・ITコンサルティング領域の売上高に含まれがちな、システム設計、開発、運用・保守などのコンサルティングに関わらない部分を極力排除(詳細は6章を参照)

4.市場規模の推定
  経済産業省 経済センサス‐活動調査カオスマップ2022掲載企業の売上高から、主要なコンサルティング企業が占める市場割合を推定

日本のコンサルティング市場規模は、1兆5,761億円(2021年度)

2017年~2021年で約1.6倍成長

図表1は、日本のコンサルティング市場規模の推定グラフです。

2017年時点で9,644億円あった市場規模が、2021年度には15,761億円と約1.6倍に拡大市場全体の年平均成長率(CAGR)は+13.1%順調に市場が成長しているといえるでしょう。

なお、2020年度の売上高減少(前年比)はコロナに伴う一時的に投資意欲が低下し、反動で2021年度の売上高は大きく上昇しています。

図表1 日本のコンサルティング市場規模(推定)[十億円]

日本のコンサルティング市場規模(推定)[十億円](2017-2021)

市場規模を押し上げた要因

市場規模を押し上げてきた要因は複数あると考えられ、経産省が公開した”DXレポート(2018年初版)に端を発するDXトレンド”、”コロナ禍に伴う企業の経営・業務の在り方の見直しの加速”、”ITの新技術の登場・発展”、は主たる要因でしょう。

これらの要因が相互に刺激しあいクライアント企業の投資ニーズが高まる中、自社単独での対応は難しく外部の力を必要とする傾向が強まった結果、現在のコンサルティング市場に拡大してきたものと推測されます。

社員数も同様に約1.6倍の裏付け

Big4やAC(アクセンチュア)といった大手の社員数の推移を確認すると約1.4~1.8倍となっており、売上高数字と近似値を取っていたので、これら市場成長率のデータの裏付けにもなっていることが確認できます。

コンサルティングファームの社員数はこれまで、本メディアにてまとめており、気になる方は参照ください。
日本の総合系コンサルファームの社員数をまとめてみた(Big4・アクセンチュアなど) [2022年度版]

コンサルティング領域別の売上高

イケイケの総合系

図表2日本のコンサルティング市場推定[十億円]

日本のコンサルティング市場推定:コンサルティング領域別[十億円](2017-2021)

2021年度のコンサルティング領域別の売上高は、
・総合系:市場規模9,349億円、 市場占有率 59.3%
・戦略系:同2,088億円、 13.2%
・業務・ビジネス系:同1,257億円、8.0%
・シンクタンク系:同1,160億円、7.4%
・業務・IT系:同672億円、4.3%
・FAS及びM&A系と事業再生系:同656億円、4.2%
・中小企業向け:同394億円、2.5%
・組織人事系:同186億円、1.2%
となっており、総合系が市場規模を大きく支えていることが分かります。

また、領域別のCAGRは、
・総合系 :+16.3%
・戦略系:+15.1%
・シンクタンク系:+12.1%
・その他:+3~7%
総合系・戦略系・シンクタンク系が市場規模の成長に大きく寄与しています。

総合系、戦略系の伸びは継続的に成長しており、その要因は先に挙げたものと推察します。一方でシンクタンク系は直近一年だけ売上高が急激に伸びており、コロナ禍が拡大し先々の不透明が増し、政府や官公庁から民間向けに調査委託が増加したためではないかと考えられます。

市場の大半は外資(60%)、特に外資の総合系が38.6%と市場をリード

市場を内資・外資で見ると概ね外資が60%、内資が40%で市場を構成しています。

また、コンサルティング領域別で見ると、
[外資]総合系 38.6%
[内資]総合系 22.4%
[外資]戦略系 11.5%
(いずれも2021年度)

が合算で市場規模の7割も占めており、総合系と外資戦略の強さが見て取れます(図表3)。

特に総合系ファームの数字は大きく、主要プレイヤーBig4およびアクセンチュアとなっており、昨今の業界を賑わす納得のいく数字です。

図表3コンサルティング領域別の市場占有率

コンサルティング領域別の市場占有率(2017-2021)


日系コンサルファームも台頭するにはまだ時間を要するものの頑張って欲しいものです。

分析の苦労~IT領域のコンサルティング売上高規模算定~

今回の調査で、約60社のファームを5年分調査することとなり、300期分程度の決算情報を見てきましたが、各社を分析するにあたり主に下記3点に関して時間を要しました。

  1. 情報が公開されているはずだが見つけられない
  2. 売上高が非公開
  3. コンサルティングの定義付け:売上高を特定・推定したとしても、内訳としてコンサルティング売上高が不明

「1」は外資の日本語以外の資料で発生しましたが、一度情報を特定してしまえば次回以降再利用可能な手法を確立できます。「2」は社員数やインタビューで補填。もっとも苦労を強いられたのは「3」で、具体的にはIT領域のコンサルティング売上高の特定でした。

IT領域のコンサルティングは、細分するとIT戦略、IT組織、IT教育、ITリソースマネジメント、個別システム構想策定、システム要件定義、システム設計、開発、保守・運用、PMO・PgMO等に分類できますが、どこまでがコンサルなのかといったところです。

各社によって見解が異なり、個別システム開発や保守・運用といった領域に関しては除く形で、極力コンサルティング以外の売上高が混入しないよう、有識者へのヒアリングも実施しながら弊社独自の方針を構築し、IT領域のコンサルティング売上高を推定しています。

まとめ

本稿では、日本のコンサルティング業界市場規模推定の本番(前章)として、”日本国内のコンサルティング市場規模(2017-2021年度)“について解説してきました。

  • 日本のコンサルティング市場規模は、1兆5,761億円(2021年度)と、2017年来約1.6倍成長
  • 社員数も類似の約1.4~1.8倍成長
  • 2017年時点からのCAGRは、+13.1%と順調に市場が成長、特に、総合系 (+16.3%)、戦略系 (15.1%)、シンクタンク系 (12.1%)が市場規模の成長に大きく寄与
  • 市場規模を外資・内資でみると、外資が60%を占有(2021年度)
  • 市場規模を外資・内資および領域別にみると、外資 総合系(38.6%)、内資 総合系(22.4%)、外資 戦略系(11.5%)で市場の70%超を占有(2021年度)
  • 市場の大半は外資(60%)、特に、外資の総合系が38.6%と市場をリード(2021年度)

最後まで読んでいただきありがとうございました。皆さんは、現在の日本のコンサルティング市場規模をどのように受取られたでしょうか?

本稿をご覧頂き、“今後の日本のコンサルティング市場予測が非常に気になる!“と感じていただけるようでしたら、2023年早々に公開予定の本編(今後のコンサル業界市場規模)もご期待ください

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