上場コンサルファームの決算情報 [2018年度決算版]

上場しているコンサルティングファームの2018年度の年次決算書を元に、コンサルティング業界の状況を考察してみたいと思います。
【2019年11月更新】
三菱総合研究所（MRI）の2019年9月期決算情報を反映しております。

１、2018年度 年間決算(コンサル事業のみ)

2018年度の通期を見てみると、概ね各社共に売上を伸ばしており、利益も全体として大幅増としていることがわかります。業界全体として、コンサルファームの拡大が言われてきておりましたが、上場ファームについてもそれは当てはまっているようです。
各社毎でもちろん状況が異なりますので、各社の決算短信をインプットに状況を纏めたものを後述２章に記載します。

<表1> ２０１8年度 年次決算
数値における上段は、会社全体としての数値表記となります。下段括弧()書きは、発表している会社のみとなりますが、コンサルティング事業のみの数値表記となっております。＊単位百万円　＊%は前年比

＊ベイカレント・コンサルティングのみ経常利益の項目は税引き前利益となっています。

２、2018年度各社経営成績概況(コンサル事業のみ)

2018年度は、売上高は41,947百万円(前年度比18.7％増)となり、良好な受注環境を背景に高い収益性が継続し、営業利益は7,810百万円(同19.0％増)となっています。
クライアントのビジネス全般を支援する変革パートナーとなる体制を整えていくとともに、海外も含めた顧客基盤の拡大に努めたとしています。2018年度は、豪州事業の寄与のほか、クライアントのＤＸ：デジタルトランスフォーメーション（ITを駆使して現実世界に変化を起こしていくこと）を支援するコンサルティングや顧客の大型開発プロジェクトを支援するシステムコンサルティングが増加しています。

2018年度は、売上高24,294百万円（前年度比18.9％増）、営業利益4,489百万円（前年度比8.2％増）、税引き前利益4,386百万円（前年度比8.2％増）となりました。

あらゆる業界に対する戦略立案からビジネスプロセス改革、そして実行までの一連のサービスをワンストップで提供できる強みを持って、事業活動を進めてきたとしています。
安定的な成長に向けた内部管理体制及び営業体制の強化・確立を優先するとともに、新たに約350名のコンサルタントを採用（新卒、未経験者含む）しています。それにより、先行投資としての求人・育成関連費用及び設備関連費用が大幅に増加しましたが、増員したコンサルタントの戦力化や営業体制の確立による更なる案件獲得が見込まれ、今後の安定的な成長に向けた土台作りは大きく進捗したとしています。

2018年度は、売上高13,329,641千円（前連結会計年度比17.2％増）、営業利益1,269,350千円（前連結会計年度比24.3％増）、経常利益1,322,289千円（前連結会計年度比26.3％増）となりました。
コンサルティングサービスにおきましては、PMO、AI、RPAなどデジタル技術を活用したサービス、ERPのクラウド化、組織・人財の活性化などを中心に、順調に売上が増加しました。

2018年度は、売上高は2,556百万円（前年同期は3,454百万円）、セグメント利益（営業利益）は652百万円（前年同期は1,685百万円）となりました。
プロフェショナルサービス事業（セグメント）においては、特定大口顧客の発注方針変更により売上高が大幅に減少したとしています。

売上高は90,029百万円（前年同期は90,250百万円）、営業利益5,130百万円（前期比3.4％増）、経常利益5,718百万円（前期比6.6％増）となっています。
シンクタンク・コンサルティングサービスについては、売上高34,099百万円（前期比1.8%増）、経常利益3,351百万円（前期比3.7％増）となっています。基盤事業においてエネルギー、運輸・交通、情報・通信等の分野が堅調に推移し、かつ営業体制を強化し民間向け事業においても、ITシステム・セキュリティ分野、新規事業開発コンサルティング、新サービスであるエネルギーの市場予測モデルなどが伸長し、利益面でも貢献したとしています。

最後に、数値表記等含めまして細心の注意を払っておりますが、間違い等ございましたらお手数をお掛けしますが、ご指摘のほどお願い致します。

典拠
2018年度
野村総合研究所　2019年3月期 決算短信〔日本基準〕（連結）

ベイカレント・コンサルティング　2019年2月期 決算短信〔ＩＦＲＳ〕（非連結）

シグマクシス　2019年3月期 決算短信〔日本基準〕（連結）

ドリームインキュベータ　2019年3月期 決算短信〔日本基準〕（連結）

三菱総合研究所　平成30年（2018年）９月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

[v075]

執筆者

K.M.コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社　コンサルティングカンパニー

平日はコンサル、土日はアメフト選手として活動中。一流なコンサル・アメフト選手になれるよう日々奮闘中。最近の悩みは、パンプアップし過ぎてスーツが着れなくなってきていること。

最新の投稿

• 働き方2024.03.21コラム｜「働きがいのある企業ランキング2024」上位をコンサルが占めていた｜コンサルのホンネ
• コンサルスキル2024.03.01コンサルティングファームが出版している書籍(2020～2023年)｜書籍紹介シリーズ
• プライベート2023.10.10グローバルのコンサルファームの社員数をまとめてみた（Big4・アクセンチュア+α） [2023年度版]
• コンサルスキル2023.08.08新人コンサルに読んでもらいたい本 ～上級編～｜書籍紹介シリーズ