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PRIDE指標受賞のコンサルファームと、LGBTQ+への取り組みを紹介

PRIDE指標受賞のコンサルファームと、LGBTQ+への取り組みを紹介

コンサル業界で進むインクルージョン&ダイバーシティ。性的マイノリティへの取り組みが評価されるファームとは?

先週4月22日と23日、性的マイノリティへの偏見や差別の根絶を目指す「東京レインボープライド2023」が開催されました。「誰もが自分らしく暮らせる社会」をテーマにした本イベントには、多くの企業が賛同しており、Big4やアクセンチュア、アビームなどのコンサルティングファームもスポンサー企業として名を連ねています。そこで今回は、LGBTQ+への取り組みを評価する「PRIDE指標」を獲得しているコンサルファームとその取り組みをご紹介します。

PRIDE指標とは

PRIDE指標とは、性的マイノリティであるLBGTQ+*が働きやすい職場づくりを日本で実現するために、一般社団法人work with Prideが2016年に策定した指標です。取り組みを評価された企業は、ゴールド・シルバー・ブロンズの3つのランクで認定され毎年発表されています。また、2021年からは他セクターとの協働を評価するレインボー認定も新設されました。

PRIDE指標は、以下の5つの項目で評価されます。

  • Policy(行動宣言)
  • Representation(当事者コミュニティ)
  • Inspiration(啓発活動)
  • Development(人事制度・プログラム)
  • Engagement/Empowerment(社会貢献・渉外活動)

PRIDE指標を受賞している企業は、多様性のある職場や社会づくりに積極的に貢献している企業だといえます。

以下より「PRIDE指標 全文」を参照しながら、PRIDE指標の5つの項目を1つずつ解説します。

Policy(行動宣言)
Policy(行動宣言)とは、方針の策定と社内外への宣言のことです。

LGBTQ+にとって、働きやすい職場を作る取り組みを全社的に行う方針を立てているかどうか、それをインターネットなどで社内外に広く公表しているかを評価します。

Representation(当事者コミュニティ)
Representation(当事者コミュニティ)では、LGBTQ+の当事者コミュニティを社内に設けているかを評価します。

この指標は、以下の4つの項目にしたがって評価されます。

  1. LGBTQ+の当事者コミュニティが社内にあるか
  2. 社内外に窓口があり、当事者が悩みを相談できる機会を提供しているか
  3. LGBTQ+を支援する「アライ(Ally、支援者)」という立場の人々を増やしたり、顕在化したりするための取り組みを行っているか
  4. 無記名の意識調査を行い、性的マイノリティの意見を把握する取り組みをしているか

Inspiration(啓発活動)
Inspiration(啓発活動)とは、従業員に向けた啓発活動を行っているかを評価する指標です。

従業員に対し、過去2年以内に性的マイノリティへの理解を促進するための取り組みを行っているかという観点で評価します。

ほかにも「管理職への研修」や「研修の継続実施」など合計14の項目があり、該当する項目の数によって評価点数が加算されます。

Development(人事制度・プログラム)
Development(人事制度・プログラム)とは、同性のパートナーがいる従業員に対しても、人事制度を公平に適用しているかどうかを評価する指標です。

対象となる人事制度は、以下のようなものがあります。

  • 結婚、出産、育児などの休暇
  • 支給金(慶事祝い金、出産祝い金、家族手当など)
  • 赴任に関する手当
  • その他福利厚生(社宅、家族割など)

またトランスジェンダーについては、以下の施策をはじめとする取り組みがあるかどうかも評価の対象です。

  • 本人が希望する性で性別を扱う
  • 性別適合手術やホルモン治療時の就業継続サポート
  • トイレや更衣室などのインフラ整備

Engagement/Empowerment(社会貢献・渉外活動)
Engagement/Empowerment(社会貢献・渉外活動)では、LGBTQ+への理解を促進するため、社会貢献活動や渉外活動を行っているかを評価します。

該当する社会貢献活動には、以下のようなものがあります。

  • LGBTQ+関連イベントの主催、協賛
  • 従業員に対する、LGBTQ+関連イベントへの参加の呼びかけ
  • LGBTQ+の学生に対する就職説明会、セミナーの主催、協賛

*LGBTQ+とは、Lesbian(女性同性愛者)、Gay(男性同性愛者)、Bisexual(両性愛者)、Transgender(心と体の性が一致しない人)、Queer/Questioning(性自認や性的指向が定まらない、定めない人)/+(そのどの言葉でも表現しきれないセクシュアリティを持つ人)などの多様な性の在り方をもつ人たちのこと。wwPでは性的マイノリティの総称として使用。

主なコンサルファームのPRIDE指標2022受賞結果

「PRIDE指標2022」は、主要なコンサルファームでは計10社が受賞をしておりますが、その中でもプレスリリースなどで発信をしているファーム5社を取り上げ、LGBTQ+への取り組みについても紹介致します。

なお、「PRIDE指標2023」は2023年7月1日(土)~8月31日(木)の期間に応募を受付け、11月に認定企業が発表される予定です。

PwC Japanグループ

PwC Japanグループは2022年、PRIDE指標の最高ランクであるゴールドを受賞しており、2018年の受賞から数えると5年連続での受賞です。

また国や自治体、NGO・NPOと協働してLGBTQ+支援に取り組む企業を評価する「レインボー認定」を2年連続で取得しています。

2022年はゴールドとレインボー認定のほかに、企業の新しいアイデアや企画を評価する「ベストプラクティス」も受賞しています。

(参照:PwC Japanグループ、LGBT+インクルージョンに関する取り組み評価 「PRIDE指標2022」において、最高位「ゴールド」、「レインボー」および「ベストプラクティス」をトリプル受賞

PwC JapanグループにおけるLGBTQ+への取り組み
PwC Japanグループでは「LGBT+インクルージョン」と題してLGBTQ+への支として以下のような取り組みを行っています。

  • 事実婚や同性婚に対する、祝い金と結婚休暇の付与
  • LBGTQ+への理解促進を目的とした研修実施
  • 当事者コミュニティやアライネットワークの設立

上記以外にも「関西レインボーパレード」や「東京レインボープライド」のようなイベントに協賛し、社外でのLGBTQ+支援も積極的に行っています。

(参照:LGBT+インクルージョン

EY Japan

EY Japanは、2022年にレインボーとゴールドを受賞しました。2017年から2022年まで6年連続でゴールドを、2021年から2022年までの2年連続でレインボーを受賞しています。

2022年の審査では、EY Japanの以下のような活動が評価されています。

  • 同性パートナーを配偶者と同等と認め、育児・介護・看護の休暇/休業、慶弔金など各種社内規定の適用対象としている
  • LGBT+当事者とアライによる社員コミュニティ「Unity」が社内外に積極的な啓発活動を行っている
  • トランスジェンダーをはじめとする誰もが利用しやすいトイレのデザインを「Unity」が提言し、EYオフィス内だけではなく、入居しているビル全体で採用されている

(引用:EY Japan、LGBT+に関する企業の取り組み指標「PRIDE指標」で2年連続「レインボー」を受賞

EY JapanにおけるLGBTQ+への取り組み
EY Japanでは、LGBTQ+への取り組みとして、以下のような活動を行っています。

  • 偏見や差別をなくすための研修を実施
  • 当事者とアライのネットワーク「Unity」の形成
  • 「Unity」のミーティングにCEOが参加
  • ダイバーシティに取り組む企業のリクルートイベント「RAINBOW CROSSING TOKYO」に参加

(参照:LGBT+のメンバーが自分らしく働ける環境作り

EY Japanでの取り組みは、LGBTQ+の社内ネットワーク「Unity」を中心として積極的な活動を行っているという点が特徴的です。

デロイト トーマツ

デロイトトーマツは2022年、PRIDE指標のゴールドを受賞しており、2018年から5年連続の受賞となります。

デロイトトーマツはPRIDE指標のほかにも「Workplace Pride Global Benchmark2019」でトップスコアを獲得しています。これは、グローバルNPO団体であるWorkplace Prideが定めた指標です。

多様性への取り組みが評価され、国際基準の認定も取得しているという点が特徴です。

(参照:デロイト トーマツ、LGBT+への取り組みを評価する「PRIDE 指標」において5年連続でゴールドを受賞

デロイト トーマツにおけるLGBTQ+への取り組み
デロイトトーマツでは、LGBTQ+への取り組みとして以下のようなものを行っています。

  • 同性パートナーを配偶者として定義
  • ホルモン治療や性別適合手術中の有給休暇制度
  • 「誰でもトイレ」などのインフラ整備
  • グループ全員への研修実施
  • 有志によるアライネットワーク形成

上記のような社内での取り組みのほかにも、社外での以下のような活動にも力を入れています。

  • 各種提言(婚姻の平等、Business For Marriage Equalityなど)への賛同
  • 2018年より東京レインボープライドに参加

(参照:LGBT+ / アライシップ

アビームコンサルティング

アビームコンサルティングは2022年、PRIDE指標のゴールドを受賞しました。2020年から数えて3年連続の受賞となります。

受賞にあたり、アビームコンサルティングの以下の取り組みが評価されました。

  • アライのコミュニティ形成
  • LGBTQ+への理解を含むダイバーシティ研修の実施
  • 配偶者を持つ社員への制度を、同性パートナーを持つ社員にも適用
  • 相談窓口の設置

(参照:「PRIDE指標2022」において、3年連続「ゴールド」を受賞

アビームコンサルティングにおけるLGBTQ+への取り組み
アビームコンサルティングのLGBTQ+への取り組みには、以下のようなものがあります。

  • LGBTQ+理解促進のためのセミナー開催
  • LGBTQ+をテーマにした映画上映会やトークセッション開催
  • アライを増やすためのプロジェクト「LGBT-Allyプロジェクト」に参加、協賛

社内の制度を整えるだけでなく、映画上映会やトークセッションで風土の醸成を行っている点が特徴です。

(参照:LGBT

アクセンチュア

アクセンチュアは、PRIDE指標2022年でゴールドを受賞しており、2016年から7年連続の受賞となります。

PRIDE指標以外では「OUTstanding LGBT+Role Model Lists」の2022年度版にて、アクセンチュア・ジャパンから2名選出されています。これはイギリスのINvolve社が毎年公開している、LGBTQ+のリーダーやアライを選出したリストです。

アクセンチュアにおけるLGBTQ+への取り組み
アクセンチュアでは、LGBTQ+をはじめとする様々な社員にとって、働きやすく能力を伸ばせる職場づくりをするため、以下のような取り組みを実施しています。

  • 専門的な能力開発
  • インクルーシブな方針
  • 採用、昇進、定着のガイドライン
  • 合法である各国での同性カップルに平等な給付の実施
  • 17か国においてトランスジェンダー健康保険を導入
  • 12万人以上のメンバーを有するグローバルなアライ・プログラム

(引用:Pride at Accenture

その他の受賞企業

上記で紹介した5社以外にも、PRIDE指標2022を受賞しているコンサルティングファームを以下に紹介します。

  • KPMG:ゴールド受賞(2018年、2019年にもゴールド受賞)
  • ボストンコンサルティンググループ:ゴールド受賞
  • マッキンゼー・アンド・カンパニー:ゴールド受賞
  • 日本IBM:7年連続でゴールド受賞
  • 電通デジタル:ゴールド受賞

まとめ

RIDE指標2022において、多くの大手コンサルファームがゴールドを受賞しています。数年連続で受賞しているファームも多く、コンサル業界全体でLGBTQ+への支援に取り組む風土が醸成されつつあるといえるでしょう。

コンサルファームへの転職や就職を検討する際は、PRIDE指標の受賞やLGBTQ+支援など、働きやすい職場作りをしているかどうか参考にしてみてはいかがでしょうか。

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執筆者

A.H.コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 アナリスト
学生時代に体育会で身につけた体力と精神力を糧に、アナリスト職として日々奮闘中。最近の趣味は業務プロセス設計。プライベートの時間は、ジムにスキーにダンスにテニスとアクティブ三昧で、「楽しく痩せる」をモットーにダイエットに励んでいる。
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