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ガートナー社の「ハイプ・サイクル」とは何か?(分析・実践編)|コンサルティング・サービスの今後を分析 

ガートナー社の「ハイプ・サイクル」とは何か?(分析・実践編)|コンサルティング・サービスの今後を分析 

コンサルにとって、ITトレンドの理解は必須。テクノロジーの盛衰を見極める「ハイプ・サイクル」からコンサルティング・サービスの今後を探ります。

前投稿では、ハイプ・サイクルの基本的なことを解説しました。本投稿ではガートナー・ジャパン社(以後、同社)のプレスリリースから確認したハイプ・サイクルをもとに今後のコンサルティング・サービスの動向を探ります。

今回の確認対象のハイプ・サイクル

“先進テクノロジのハイプ・サイクル”(2019-2022の計4年分)を今回の確認対象にしました。

先進テクノロジのハイプ・サイクル 2019年(2019年8月30日)
先進テクノロジのハイプ・サイクル 2020年(2020年8月19日)
先進テクノロジのハイプ・サイクル 2021年(2021年8月24日)
先進テクノロジのハイプ・サイクル 2022年(2022年8月16日)

ガートナー・ジャパン Newsroom プレスリリース

これらハイプ・サイクルの動向から「今後のコンサルティング・サービスの方向性」を探ってみたいと思います。これまでのトレンドと最新トレンドを俯瞰することがポイントになります。(今回はプレスリリース対象のハイプ・サイクルのみを対象としております。他に、“日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル ”(2019年-2021年)が参照できますが、こちらは “先進テクノロジのハイプ・サイクル”の後追い感があり、今回は割愛しております)

なお、同社サイトによると、本ハイプ・サイクルの概要は以下のように説明されています。

本ハイプ・サイクルでは、今後2~10年にわたってビジネスや社会に大きなインパクトをもたらす先進テクノロジに焦点を当てる。2021年版では、成長を加速するもの、信頼を構築するもの、変化を形作ることで変わりゆく世界のカオスに秩序をもたらすものを取り上げる。

出典:ハイプ・サイクル 2021-2022年レポート一覧 (2022年9月13日時点)

[分析1]毎年登場するテクノロジが大きく変わる

2019年から2022年までに登場するテクノロジは、109種類です。さらに前年と比較すると、ほぼ毎年8割~9割近くが初登場のテクノロジであることが分かります。正直新出が多すぎる気もします。

発行年 登場テクノロジ数
初登場
(全体割合%)
再登場数
(全体割合%)
 2019年   29 
2020年 30  24 (80%)   6 (20%) 
2021年 25 22 (88%) 3 (12%)
2022年 25 21(84%) 4(16%)

[分析2]2022年登場のテクノロジ

昨今のバズワードとなっている“メタバース”や“web3(web3.0)”などが初登場となっています。メタバースやデジタル・ヒューマンは現在黎明期で主流で実活用されるまでに10年以上、web3は過度な期待のピーク期となっており、今後5-10年での主流での実活用が期待されます。

ハイプ・サイクル2022
図1. 先進テクノロジのハイプ・サイクル:2022年

なお、2022年9月1日発表の「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」によると、日本ではメタバースが「過度な期待」のピーク期とされており、グローバルとは異なる分析がなされています。
当メディアでもニュースとして扱っておりますので、詳しくはこちらをご参照ください。

同社プレスリリースによると、今回のハイプ・サイクルではテクノロジのトレンドに沿って3つのテーマで分類付けしています。

(1)イマーシブ・エクスペリエンスの進化と拡大

フェーズ 主流採用化までの年数 テクノロジ *五十音順 初登場
黎明期 5~10年 インターナル・タレント・マーケットプレース
顧客のデジタルツイン
10年以上 スーパーアプリ
デジタル・ヒューマン  
メタバース
ピーク期 2~5年 NFT(非代替性トークン)  
5~10年 Web3
5~10年 分散型アイデンティティ  

(2)人工知能 (AI) 自動化の加速

フェーズ 主流採用化までの年数 テクノロジ *五十音順 初登場
黎明期 5~10年 オートノミック・システム
機械学習コード生成
コーザルAI
ジェネレーティブ・デザインAI
ピーク期 5~10年 ファウンデーション・モデル

(3)テクノロジストによるデリバリの最適化

フェーズ 主流採用化までの年数 テクノロジ *五十音順 初登場
黎明期 2~5年 オープン・テレメトリ
クラウド・サステナビリティ
動的リスク・ガバナンス
プラットフォーム・エンジニアリング
5~10年 インダストリ・クラウド・プラットフォーム  
オブザーバビリティ駆動型開発
拡張FinOps
実用最小限のアーキテクチャ(MVA)
サデータ可観測性
10年以上 サイバーセキュリティ・メッシュ・アーキテクチャ
ピーク期 2~5年 クラウド・データ・エコシステム
5~10年 コンピュテーショナル・ストレージ

[考察] 今後のコンサルティング・サービスの方向性 ~ハイプ・サイクルからの示唆

黎明期に関するテクノロジは今後のトレンドのきっかけになり得ます。このフェーズにあるテクノロジに着目し、今後のコンサルティングニーズを探ります。具体的には、着目したテクノロジおよびテーマは下記3つです。

(1)テクノロジ[インターナル・タレント・マーケットプレース

直訳すると「内側の人材市場」といった感じですが、Gartner社の2021年11月15日付記事(3 Trends from the Hype Cycle for Human Capital Management)を参考にした筆者なりの理解は、「外部からの人材採用にばかり頼るのではなく、社内に着目し今現在所属する人材を育成、活用するための技術や仕組みやあり方」です。

同記事には、「パンデミックとそれに続く労働市場の環境変化が起きている中で環境変化への適応や企業としての回復力が問われている」ことが背景にあるようです。しかしながら、昨今の慢性的な人材不足の時代においては、遅かれ早かれこのような考えが登場するのは必然の流れかもしれません。

また、経済産業省から2020年12月28日に公表された「 DXレポート2(中間とりまとめ)」では外部人材の積極的な登用について提言されてはいるものの、ハイプ・サイクルも踏まえると、今後の人材育成、活用の在り方が見直され、この領域のコンサルティングニーズが高まる可能性があります。

(2)テクノロジ[顧客のデジタルツイン]

もともと“デジタルツイン”というテクノロジは、製造業を対象に登場したものです。

ご存知の読者の方が多いとは思いますが、このテクノロジの意味するところは「現実空間のモノや環境にまつわるデータをIoT技術で収集し、仮想空間上に移管して再現する技術」であり、その目的は「近未来の事象を予測・推測して先手の対応を打つ」ことです。

この類似テクノロジの登場は、製造現場だけに上記の考え方を留めずに、在庫・物流・販売・販売後など、バリューチェーンの広範囲で予測・推測・先手の対応といったニーズが強くなってきたことが背景にあるのではないでしょうか。予測・推測と未来への先手の対応は、経営ニーズの一つであるため、コンサルティングニーズもより高まるかもしれません。

(3)テクノロジテーマ[イマーシブ・エクスペリエンスの進化と拡大]

「2019~2021年の先進テクノロジのハイプ・サイクル」やハイプ・サイクルのプレスリリース後に発表されている「戦略的テクノロジのトップ・トレンド(2021年)」では、“マルチ・エクスペリエンス” (*1)や、“トータル・エクスペリエンス” (*2)といった“エクスペリエンス”にまつわるテクノロジが多出しています。

今回の発表では、個別のテクノロジではなくテーマとして“イマーシブ・エクスペリエンス(没入型体験価値)”が登場し、その中で先述のテクノロジ等が紹介されています。

(*1)VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)といったXRを複合的に組み合わせて体験を向上させるためのテクノロジ
(*2)マルチ・エクスペリエンス(MX)、カスタマー・エクスペリエンス(CX)、従業員エクスペリエンス(EX)、個々の顧客接点におけるユーザー・エクスペリエンス(UX)の4つの要素を組み合わせてエクスペリエンス全体を向上させるためのテクノロジ

ハイプ・サイクルの利用目的は各企業のテクノロジ投資判断の一助にすることであることでした(前投稿を参照)。

複数年で当類似テクノロジが多出しているということは、エクスペリエンス(体験価値)は経営への大きなインパクトの可能性があり、企業としては前向きに投資するために注視が必要と解釈できます。また、そこにコンサルティングニーズも継続的に発生するものと考えられます。

まとめ

今回は、“先進テクノロジのハイプ・サイクル”を題材に、今後のコンサルティングニーズの方向性をさぐりました。

ハイプ・サイクルに登場するテクノロジは数が膨大で栄枯盛衰ですので、一つひとつのテクノロジに振り回されずに大局観をもって参考にし、日々のコンサルティング業務に活かすことが重要です。

[v174]

執筆者

S.M
S.Mコダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルティングカンパニー
SIer・ITコンサルファームでのキャリアを積む。大規模システム刷新プロジェクトにおける業務要求定義からシステム導入運用まで幅広いフェーズや大企業でのDXにおけるPgMOのリーディングや実務をこなす。業務・IT双方へ精通し、関係者との迅速な関係構築のうえ、両面からの業務改革支援に強みを持つ。
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