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上場コンサルファームの決算情報 [2017年度決算版]
コンサルのニーズ拡大は今後も順調に推移していく見込み
上場しているコンサルティングファームの2017年度の年次決算書を元に、コンサルティング業界の状況を考察してみたいと思います。おまけで、2017年度決算〆がちょうど1年前の会社もありますので、直近の4半期決算書から読み取れる内容を纏めたものも記載します。
1、2017年度 年間決算(コンサル業務のみ)
2017年度の通期を見てみると各社共に売上を伸ばしており、利益も全体として大幅増としていることがわかります。業界全体として、コンサルファームの拡大が言われてきておりましたが、上場ファームについてもそれは当てはまっているようです。
一方で直近の四半期決算を見てみても、全体として変わらず右肩上がりで益々の躍進を遂げており、コンサルティングのニーズ拡大は今後も順調に推移していくのではないでしょうか(第2章参照)。
各社毎でもちろん状況が異なりますので、各社の四半期決算短信をインプットに状況を纏めたものを後述2章に記載します。
<表1> 2017年度 年次決算
数値における上段は、会社全体としての数値表記となります。下段は、発表している会社のみとなりますが、コンサルティング事業のみの数値表記となります。(単位百万円)(%は前年比)
*ベイカレント・コンサルティングのみ経常利益の項目は税引き前利益となっています。
2、直近4半期の抜粋
次に直近の四半期決算の情報から最新の状況を確認してみたいと思います
<表2> 直近4半期
数値における上段は、会社全体としての数値表記となります。下段は、発表している会社のみとなりますが、コンサルティング事業のみの数値表記となります。(単位百万円)(%は前年同期比)
*ベイカレント・コンサルティングのみ経常利益の項目は税引き前利益となっています。
※シンクタンク・コンサルティングサービスにおいて、主要な取引先である官公庁や企業の会計年度の関係により、 例年3月から4月にかけて売上計上が集中することから、第1四半期の業績は他の四半期と比べて著しく低くなる傾向があります。
また、コンサルティング事業として切り出している公表している会社においても、部門別の切り出しタイミング等が掌握できないので、こういった点は年次決算の数値を正としてみたほうが確実です。
3、株式会社野村総合研究所 (NRI) ※コンサルティング事業
2018年度第3四半期累計は、売上高は30,041百万円(前年同期比24.2%増)、営業利益は5,148百万円(同45.8%増)となっています。
豪州事業の寄与のほか、顧客のデジタル・トランスフォーメーションを支援するコンサルティングや顧客の大型開発プロジェクトを支援するシステムコンサルティングが増加し増収増益に寄与しています。
4、株式会社ベイカレント・コンサルティング
2018年度第3四半期累計期間の収益は、前年同期に比べ14.6%の増収となり、前事業年度に約13%増員したコンサルタントの戦力化が進んだほか、戦略・ビジネスコンサルティング案件の新規受注比率が拡大しています。
また、収益は前年対比14.3%減収となり、第1四半期会計期間において、前事業年度に増員したコンサルタントに対し、十分な案件数を確保する営業体制の確立の遅れが生じたことや、高付加価値案件の増加により案件獲得へのリードタイム(クライアントへの提案から受注までに要する期間)が従来よりも長期化したこと等に伴う一時的な稼働率の低下によるものとしています。
2018年6月以降から営業体制の確立が進んだことで、足下の受注状況は好転し、併せて稼働率も、80%台後半の水準に回復し、サービスの提供や成果物の検収が順調に進捗したことにより、当第3四半期会計期間においては、前年同期に比べ18.1%の増収となり、概ね計画どおりの水準としているとしています。
5、株式会社シグマクシス (SX)
2018年度第3四半期累計期間は、売上高は、9,606百万円(前年同四半期比15.2%増)、営業利益897百万円(前年同四半期比11.4%増)、経常利益975百万円(前年同四半期比17.4%増)となります。
PMO、AI、RPA、ERPのクラウド化、人財と組織の活性化などを中心に案件を受注しています。
6、株式会社三菱総合研究所 (MRI) ※シンクタンク・コンサルティングサ-ビス
2018年度第1四半期連結累計期間は、売上高(外部売上高)は2,621百万円(前年同期比43.4%増)、経常損失は747百万円(前年同期は1,007百万円の損失)としています。
官公庁のシステム調達・工程管理支援案件のほか、一般民間企業向けの各種案件の売上が増加しています。
7、株式会社ドリームインキュベータ (DI) ※プロフェショナルサービス事業
2019年第3四半期連結累計期間は、売上高1,668百万円(前年同四半期は2,402百万円)、セグメント利益(営業利益)は277百万円(前年同四半期はセグメント利益(営業利益)1,146百万円)となり、前年同四半期と比べて大幅に減少しています。
アジア地域等における戦略コンサルティングや市場調査での事業は拡大見込みである一方、国内における戦略コンサルティングの売上高が減少する見込みとしています。
最後に、数値表記等含めまして細心の注意を払っておりますが、間違い等ございましたらお手数をお掛けしますが、ご指摘のほどお願い致します。
典拠
2017年度
野村総合研究所
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/ir/financial/1803tanshin_all.pdf?la=ja-JP&hash=8F75BB540D651504ACF57FB4B7968FB9D4DE6547
ベイカレント・コンサルティング
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6532/tdnet/1572559/00.pdf
三菱総合研究所
https://file.swcms.net/file/mri/ja/news/auto_20181029425151/pdfFile.pdf
ドリームインキュベータ
https://www.dreamincubator.co.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/180510_4QKT_FN01.pdf
直近4半期
野村総合研究所
https://www.nri.com/jp/ir/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/ir/financial/1903tanshin_3Q_all.pdf
ベイカレント・コンサルティング
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6532/tdnet/1662412/00.pdf
三菱総合研究所
https://file.swcms.net/file/mri/dam/jcr:10608ba7-4bea-44ab-9da0-f84b77450752/140120190204469780.pdf
ドリームインキュベータ
https://www.dreamincubator.co.jp/wp/wp-content/uploads/2019/01/190206_KT_3Q_3.pdf
[v059]
執筆者
- アクセンチュアにてファーストキャリアをはじめ、以来20年超コンサル畑で事業戦略からITコンサルまで幅広くこなす。大企業の経営課題に対して包括的に俯瞰し、全体的なロードマップと解決に向けた推進に強みを持つ。
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