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コンサルティングファームの売上と利益ランキング |NRIやシグマクシスなど上場ファームの決算状況(2023年版)

上場ファームの最新通期IR情報からコンサル業界トレンドを考察。売上高ランキングもまとめています。
日本国内で上場しているコンサルティングファームの各社最新の通期決算情報をもとに、売上や利益及び成長率からコンサルティング業界の状況を考察します。これまで毎年度まとめている決算まとめ記事の2023年版となります。今回は、カオスマップ記事に掲載しているファーム各社の中で上場しているファームを取り上げております。
戦略、ビジネス、IT、リサーチ、事業再生、FASの各領域に渡って上場しているコンサルファームはありますが、やはり拡大傾向が強いIT領域を手掛けるファームが多くなっております。なお、決算情報においてコンサルティング事業として切り出して数字を公開していない会社は載せておりません。
目次
2023年6月時点決算全体
今回取り上げた各社の状況を見てみると多くの会社が二桁増の増収増益を示しており、特にコンサルティングに係るセグメントの数字だけみると成長率はさらに高く、コンサルティングビジネスが引き続き堅調に伸びていることが表れています。
対前年マイナス成長の数字を示す会社もありますが、投資事業の影響による減収や、一時的な要因によるものとなっており、コンサルティング自体は堅調であることがうかがえます。また、決算書を読み込んでも各社必ずDX(デジタルトランスフォーメーション)については言及をしており、DX支援などがファームの成長における最大要因になっていることは間違いなさそうです。
<図1>2023年 各社年次決算売上高と昨対比増減率
各社の決算情報を基にグラフ化しております。
連結決算売上は、各社が発表しているコンサルティングセグメントとそれ以外のセグメントに構成を分けております。また、昨対比増減率については、連結決算売上高のものとしております。

<表1> 最新通期決算
会社全体売上高順に掲載。
数値における上段は、会社全体としての数値表記となります。下段括弧書きは、発表している会社のみとなりますが、コンサルティング事業のみの数値表記となっております。
*単位百万円 *%は前年比
社名 | 売上 | 営業利益 | 経常利益 |
---|---|---|---|
株式会社野村総合研究所(NRI) |
692,165 |
111,832 |
108,499 |
13.2% (7.7%) |
5.3% (△3.8%) |
3.7% (NA) |
|
株式会社電通国際情報サービス(ISID) 2022年12月期(2023年2月10日発表) |
129,054 |
18,590 |
18,354 |
15.1% (NA) |
35.3% (NA) |
38.8% (NA) |
|
株式会社三菱総合研究所(MRI) 2022年9月期(2022年11月4日発表) |
116,620 |
9,165 |
10,493 |
13.2% (20.2%) |
33.7% (12.7%) |
38.6% (23.7%) |
|
株式会社ベイカレント・コンサルティング 2023年2月期(2023年4月14日発表) |
76,090 | 29,916 | 29,875 |
32.0% | 39.0% | 39.2% | |
フューチャー株式会社 2022年12月期(2023年2月7日発表) |
53,738 |
12,229 |
12,574 |
10.3% (16.1%) |
35.9% (44.6%) |
35.4% (NA) |
|
株式会社ビジネスブレイン太田昭和(BBS) 2023年3月期(2023年4月28日発表) |
37,063 |
3,208 |
3,241 |
14.6% (18.3%) |
16.9% (NA) |
16.1% (NA) |
|
シンプレックス・ホールディングス株式会社 2023年3月期(2023年4月27日発表) |
34,946 |
7,451 |
7,298 |
14.3% (98.5%) |
17.1% (NA) |
17.9% (NA) |
|
株式会社ドリームインキュベータ (DI) 2023年3月期(2023年5月11日発表) |
30,132 |
1,190 |
1,227 |
△15.3% (35.3%) |
NA (15.5%) |
NA (NA) |
|
株式会社船井総研ホールディングス 2022年12月期(2023年2月8日発表) |
25,635 |
7,100 |
7,197 |
12.4% (9.5%) |
11.7% (4.4%) |
11.6% (NA) |
|
株式会社シグマクシス・ホールディングス (SX) 2023年3月期(2023年5月9日発表) |
17,334 |
3,235 |
3,265 |
10.7% (11.6%) |
17.2% (NA) |
18.1% (NA) |
|
山田コンサルティンググループ株式会社 2023年3月期(2023年5月9日発表) |
16,450 |
2,871 |
2,920 |
12.3% (14.7%) |
14.7% (19.7%) |
13.5% (NA) |
|
INTLOOP株式会社 2022年7月期(2022年9月14日発表) |
13,120 | 793 | 772 |
41.9% | 97.6% | 84.3% | |
株式会社コアコンセプト・テクノロジー 2022年12月期(2023年2月13日発表) |
12,113 |
1,120 |
1,139 |
55.3% (69.5%) |
105.2% (NA) |
108.6% (NA) |
|
株式会社タナベコンサルティンググループ 2023年3月期(2023年5月11日発表) |
11,759 | 1,152 | 1,163 |
11.2% | 24.4% | 24.9% | |
YCPホールディングス(グローバル)リミテッド 2022年12月期(2023年2月14日発表) |
11,354 |
1,676 |
1,637 |
17.0% (NA) |
60.5% (NA) |
63.4% (NA) |
|
株式会社エル・ティー・エス(LTS) 2022年12月期(2023年2月10日発表) |
9,637 |
501 |
489 |
30.7% (19.0%) |
△16.5% (△12.1%) |
△15.6% (NA) |
|
フロンティア・マネジメント株式会社 2022年12月期(2023年2月10日発表) |
7,915 | 908 | 921 |
37.9% | 81.2% | 79.1% |
*野村総合研究所、ベイカレント、ビジネスブレイン太田昭和、シンプレックス、YCPについては、経常利益の項目は税引き前利益となっています。
*電通国際情報サービスのコンサルティング事業の数値は、決算補足資料におけるサービス品目別連結売上高に記載のある、コンサルティングサービスの数値としております。
各社経営成績概況
一部抜粋する形でいくつかの会社のコンサルティングセグメントの概況を決算短信から抜粋引用し、ご紹介します。
株式会社野村総合研究所(NRI)
顧客のDXを支援するコンサルティングを強化し、顧客ニーズへの的確な対応に努めるとともに、グローバル領域においては、これまでの顧客基盤を維持強化しながら欧米等の先進国におけるサービス拡大に努めました。また、脱炭素等の社会課題の解決を起点にした新たなコンサルティングサービスの創出に向けた取組みを行いました。当年度の売上収益は、前年度に引き続きDX関連や社会課題案件のコンサルティングが好調に推移し、47,821百万円(前年度比7.7%増)となりました。営業利益は、国内のDX関連や社会課題案件が活況であったものの、海外の収益性悪化により、12,329百万円(同3.8%減)となりました。
株式会社三菱総合研究所(MRI)
当連結会計年度は、官公庁分野のコロナ関連AIシミュレーションを含む大型案件や5Gその他次世代通信分野の実 証案件、再生エネルギーに係る調査案件、医療・介護等のヘルスケア関連案件等の伸長により、売上高(外部売上 高)は48,548百万円(前年度比20.2%増)、経常利益は5,190百万円(同23.7%増)となりました。 なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は285百万円減少、経常利益は7百万円減少しております。
株式会社ベイカレント・コンサルティング
新たに約870名(うち、新卒約160名)の社員を採用し、コンサルタント数は前年同期比25%増加となりました。また、DXやサステナビリティ、事業戦略等に関するプロジェクトの増加により、前年同期比約5%の高付加価値化を実現いたしました。稼働率については、年間を通じて平均約90%で推移いたしました。この結果、当事業年度における売上収益については、前年同期に比べ32.0%の増収となり、営業利益については、前年同期に比べ39.0%の増益となりました。
株式会社ドリーム・インキュベータ(DI)
ビジネスプロデュース事業では、主に大企業向けの事業創造支援や成長戦略立案支援に関する戦略コンサルティング、M&Aファイナンシャル・アドバイザリーの提供、及び社会課題を解決するための新たな官民連携の仕組みであるソーシャルインパクトボンド(SIB)を活用した事業運営をしております。当連結会計年度において、売上面ではクライアントの事業創造ニーズの高まりに加え、積極的な人員増強、マーケティング活動、及び他業種との協業に注力し、売上高は年間を通して好調に推移した一方、費用面では更なる売上拡大を見越した人員増強等の積極的な投資を行った結果、人件費・採用費等が増加しました。
株式会社シグマクシス・ホールディングス(SX)
コンサルティング事業の当連結会計年度の業績は、売上高17,259,287千円(前連結会計年度比11.6%増)、セグメント利益5,032,397千円(前連結会計年度比14.9%増)となりました。産業別では金融、商社、運輸、通信、流通、製造を中心とした顧客へのデジタル・トランスフォーメーション戦略策定、新規事業やサービス開発、組織と人財の活性化など企業のトランスフォーメーションを支援するプロジェクトが事業を牽引しました。人財採用につきましては、当連結会計年度において経験者56名、新卒36名が入社しました。新卒社員は10月から稼働を開始しております。2023年3月末時点のコンサルタント数は511名となっております。
最後に、数値表記等含めまして細心の注意を払っておりますが、間違い等ございましたらお手数をお掛けしますが、ご指摘のほどお願い致します。
【典拠】
◆株式会社野村総合研究所 2023年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
◆株式会社電通国際情報サービス 2022年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
◆株式会社三菱総合研究所 2022年9月期決算短信〔日本基準〕(連結)
◆株式会社ベイカレント・コンサルティング 2023年2月期 決算短信〔IFRS〕(非連結)
◆フューチャー株式会社 2022年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
◆株式会社ビジネスブレイン太田昭和 2023年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
◆シンプレクス・ホールディングス株式会社 2023年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
◆株式会社ドリームインキュベータ 2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
◆株式会社船井総研ホールディングス 2022年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
◆株式会社シグマクシス・ホールディングス 2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
◆山田コンサルティンググループ株式会社 2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
◆INTLOOP株式会社 2022年7月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
◆株式会社コアコンセプト・テクノロジー 2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
◆株式会社タナベコンサルティンググループ 2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
◆YCPホールディングス(グローバル)リミテッド 2022年12月期 決算短信〔SFRS(I)及びIFRS〕(連結)
◆株式会社エル・ティー・エス 2022年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
◆フロンティア・マネジメント株式会社 2022年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
執筆者

- コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルキャリアカンパニー
-
外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
コンサルティングワークもこなす傍ら、人材紹介事業の事業責任者やコダワリの人材開発業務や採用統括業務など含めて幅広に従事。
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