コンサルファームやコンサル業界の情報サイト | コンサルのあんなこと、こんなこと

読了まで 8

戦略コンサルの考える「失敗しないデジタルマーケティング」とは?成功のポイントを解説

戦略コンサルの考える「失敗しないデジタルマーケティング」とは?成功のポイントを解説

デジタルマーケティングのメリットと成功企業の最新事例を解説

近年“デジタルマーケティング”という言葉を耳にすることが増えてきたのではないでしょうか?デジタルマーケティングは新しいビジネス用語のため人によって定義が様々です。今回は、デジタルマーケティングの構想策定から実行支援まで経験した筆者が、その定義や最新事例、成功に不可欠なスキルなどを解説します。

この記事では、デジタルマーケティングの定義を「オンライン・オフラインの双方で購買データを取得し、取得したデータの分析に基づいてターゲット顧客にアプローチするマーケティング手法」とします。

つまり、デジタルマーケティングとは従来のマーケティング戦略に“データを取得する場”と“取得したデータの分析”という2つの観点を取り入れた手法なのです。

補足ですが、上記定義はオムニチャネルとOMO(Online Merges with Offline)という言葉を使って表現されることもあります。

・オムニチャネル:企業と顧客の接点をオフライン・オンライン双方でチャネルを持つこと
・OMO:オンラインとオフラインの双方をマーケティング手法として実施すること

本稿はコンサルティングファームでの支援事例や筆者のプロジェクト経験から下記3点を重点的に解説したいと思います。

  1. デジタルマーケティングとは何か
  2. デジタルマーケティングによって実現できること及び事例紹介
  3. デジタルマーケティング実行に必要なスキルは何か

デジタルマーケティングとは何か

企業においてマーケティング活動は非常に重要な営みです。事業構造や顧客の理解に裏打ちされたマーケティング施策群を経営指標に紐づけ、経営指標の改善余地、予測リスクを評価することで意思決定に繋げることが可能だからです。

では上記のマーケティングに関わる営みに加え、テクノロジー活用を踏まえたデジタルマーケティングとは何でしょうか。冒頭の定義よりも細かく結論付けると「オフライン・オンライン双方から取集したデータを軸にターゲット顧客に自社製品を認知させ、購買行動の決定要因に係る示唆を導出する。導出した示唆を踏まえ、最適な購買体験を提供すること」となります。

長い定義になってしまったので、冒頭の“データを取得する場”と“取得したデータの活用方法”という2つの観点から説明します。

(1)データを取得する場

従来のマーケティング活動はリアル店舗からの顧客情報取得が主流でした。しかしECチャネルの普及により、顧客はリアル店舗と同様の購買体験をシームレスに受けることが可能になりました。

そうなるとリアル店舗とECチャネルの双方から顧客情報や購買情報を取得できるようになります。取得したデータを基に顧客の便益を提供することで、「この製品・サービスならば、この企業が業界で有名だ」という認知に繋がります。

例)ファストファッション⇒ファーストリテイリング
  牛丼⇒すき家  など

(2)取得したデータの分析

データ分析の観点では、POSやポイントカードで顧客の属性は分析してきたのでは?と思われる方もいらっしゃるかと思います。

しかし、デジタルマーケティングでは更に高度な分析を実施します。

ECチャネルからは年齢、住所、購買履歴などの顧客属性を抽出することができます。それだけでなくサイトの滞在時間、画面移動履歴なども把握することで顧客特性を割り出せます。

リアル店舗でも顔認証や行動予測、表情認識などのこれまでは取得できなかったデータを分析対象とすることができます。

総括するとデジタルマーケティングとは、より広い範囲の顧客に、より精度の高い分析を実施することで消費者理解及び価値のある便益を提供する戦略なのです。

なお、デジタルマーケとWebマーケの違いは何か、とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。

上記で説明したように、デジタルマーケティングは、企業戦略に沿ってデジタルデータを活用しながらマーケティングを行うことを指すのに対し、webマーケティングは、web上のマーケティングのみを指します。つまり、webマーケティングはデジタルマーケティングの一部ということになります。

デジタルマーケティングの可能性と成功企業の事例

デジタルマーケティングによって実現できることは何でしょうか。また、実際に企業はどのように取り組んでいるのでしょうか。

先ほどの定義を踏まえ、実現できること及び事例を2つ紹介していきます。

(1)深い顧客理解

顧客理解とは顧客の購買行動とその背景にある心理状態を指します。

顧客が製品・サービスを購入するときは

・どのように製品・サービスを認知し、なぜ購入しようと思ったのか
・どの商品を、いつ、どれくらいの頻度で、どれくらいの量を購買したのか

を理解する必要があります。

デジタルマーケティングでは従来のマーケティングと違い顧客の「購買行動に係る情報の取得量」が圧倒的に違います。特にこれまではPOSでの購買行動のデータ取得が中心でしたが、購買前後の行動に関わるデータを収集できるようになりました。

例えば、購買前だとGoogleの検索履歴、ページの滞在時間、どのページからどのページに飛んだかなどのデータ、購買後だとユーザからのレビューはIDと紐づけられるため、購買後にどのような心理(良いと判断したか、何が良いか/何が改善点か)になったかに関わるデータを取得できます。

(2)詳細な顧客セグメンテーション

セグメンテーションとは「市場における顧客をある基準で集団に分けること」を指します。簡単な例ですが、大雑把なセグメントとして「20代の既婚女性」などが挙げられます。

さて、デジタルマーケティングでは従来のマーケティングと違い、より詳細に顧客を区別することができます。

というのも、デジタルマーケティングは先ほど説明したように顧客の行動・心理をより深く理解するためのものです。つまり顧客一人ひとりの購買意欲・興味・関心などを分析することで、「Aさんにはこの施策が有効」「Bさんにはこっちの施策が有効」などの検討が可能です。

従来のマーケティングでは、企業が一方的に設定した基準でセグメンテーションを行い、施策を打ってきました。これだと定めた基準には当てはまるものの、顧客一人単位で見るとニーズが異なる等の見当違いが発生してしまいます。

ところがデジタルマーケティングは一人単位の個人から分析を行うため、より顧客のニーズに沿った施策を打つことが可能なのです。

ここからは、デジタルマーケティングに成功した企業の事例を見ていきましょう。

事例①:森永製菓のエンゼルPLUS

森永製菓が運営するファンコミュニティサイト「エンゼルPLUS」は正にデジタルマーケティングの成功例と言えるでしょう。

同ファンサイトでは顧客同士が情報交換をする場の構築、製品に対するアンケート実施などにより幅広い顧客属性に関わる情報を取得することで顧客理解に努めています。

取得した顧客情報から製品開発にフィードバックを行い、より一層顧客を自社のファンにすることでLTV(顧客生涯価値)の向上を目指しています。

デジタル化が進んだ現代社会では「自社の顧客をいかに競合企業に奪われないように長期的な関係を築き上げることができるか」が重要であり、同社の取組は顧客理解を目的とした施策として良い事例です。

事例②:ユニクロの会員アプリ

ユニクロは会員アプリで詳細な顧客情報を取得しようと心掛けています。特にマスマーケティングではなく、顧客一人にフォーカスしたマーケティングを実施しています。

具体的には同アプリで購買前後の行動である商品の閲覧履歴や、ページの遷移、クーポンの利用履歴などを顧客ごとに取得しています。

その情報から顧客ごとにコーディネートの提案、クーポン配布を行い顧客満足度の向上につながる施策を実施しています。

購買前後の行動をデータとして蓄積して分析することで、より細かいセグメント(ここでは顧客一人の単位)でマーケティング施策を打つことが可能なのです。

デジタルマーケティング実行に必要なスキルは何か

本章では筆者の経験を元に、デジタルマーケティングの実行に必要なスキルを3つ解説したいと思います。筆者はデジタルマーケティングの構想策定から実行支援まで経験したことがあり、今回はその経験を基に解説します。

(1)従来のマーケティングスキル

デジタルマーケティングと言っても、従来のマーケティングスキルは必須となります。あくまでマーケティング活動の基本である「顧客の購買行動及び心理の理解」を、テクノロジーを活用して効率的・実用的に行う営みだからです。

よって、従来のマーケティングスキルがなければ、「テクノロジーを使ってどのような施策ができるか」という発想になってしまい、本来行うべきマーケティング施策からは離れてしまうでしょう。

効果的なマーケティング施策を実施するには、「どういった顧客セグメントに」「どういった価値を提供するか」の構想策定をしっかり練る必要があります。

この構想策定段階では従来のマーケティングスキルが必須となります。

(2)データ分析に関わるスキル

デジタルマーケティングでは顧客の購買行動・心理を探るためにビックデータ解析が必要になります。そのため「どのようなデータを取得するべきか」「取得したデータをどう解析すべきか」を考えて分析しないと無意味なデータだけが集まり、結局分析から何も示唆が得られないことも多いです。

データ分析には、機械学習や深層学習、画像解析や言語処理解析等の技術的なスキルが必要になります。

内製で対応する場合は機械学習や深層学習などデータ分析に係るスキルを獲得し、データ戦略から実行まで担当できる人材育成を行うべきです。

外注で対応する場合は上記分析スキルも重要ですが、社内の業務や人間関係のパワーバランスも正確に捉えることができる人をアサインすべきです。

(3)論点及び仮説構築力

「論点」や「仮説」という言葉を使うとコンサル的な側面が強くなってしまうのですが、デジタルマーケティングを実行する目的はあくまでも企業として財務的なインパクトを出すためです。

つまり、売上・利益が伸びなければ意味のない取組とも言えるのです。

そこで必要なのは「売上・利益を伸ばすために答えるべき問い(=論点)は何か」と「問いに対して現時点で考えられる答え(=仮説)は何か」を検討すべきです。

多くの企業がデジタルマーケティングに取り組んだものの効果がない、実施した意味が見いだせない、というのは論点と仮説の構築が不十分だからと言えるでしょう。


手段である施策を考える前に、上記の論点と仮説をしっかり検討することで大きな効果が見込めるのです。

失敗するデジマ、成功するデジマ。その違いとは

デジタルマーケティングにおいてよくある失敗例として以下のようなケースがあります。

・手段から始めてしまう
・分析なき施策検討

例えば、CRMやMAの導入から検討したものの、実際に導入して運用してみると売り上げは大して上がらず、維持に掛かるコストだけ膨らんでしまい結果的に利益を圧迫してしまうなどがあります。

また、自社にとって売上の割合が大きい顧客を分析せずに、「顧客が欲しいものはこれだ!」、「顧客はこういう商品を買ってくれるはずだ!」とKKK(勘、コツ、経験)で判断してしまうケースもあります。これでは自社に売上をもたらしてくれている顧客をどうやって増やすのかが、正確に定まりません。

逆に成功するデジタルマーケティングとは現状課題を定性的、定量的に分析し、どの顧客に、どの商品が、どのようにして提供されているのかを正確に把握できていることです。

その結果、

・商品の大多数が売上に貢献しておらず、わずかな商品で売上を構成している
・顧客はオンラインで購入したいのに導線が上手く設計出来ておらず自社製品にニーズを持っている顧客まで取りこぼしている

などの論点を発見することができます。

デジタルマーケティングは企業の売上・利益向上に対し大きなインパクトを創出する可能性があります。正しいデータ取得とデータ分析を行い、顧客理解・セグメンテーションごとの施策を打っていけば確実に売上向上・利益向上に繋がるでしょう。

今後先端テクノロジーが次々と活用されていく中で、自社のマーケティング活動を振り返った際に、少しでも本投稿が役に立ってくれると筆者としては非常に嬉しく思います。

当メディア運営企業では、フリーコンサルタントの案件紹介コンサルタントの転職支援を行っております。
デジタルマーケティングに関するコンサルティングに強みをお持ちの方に限らず、様々な領域でご支援が可能です。ぜひ、お気軽にご相談ください。▶▶▶ご相談はこちらから

[v220]

執筆者

K.M
コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルティングカンパニー

外資系総合コンサルティングファーム戦略部門、ベンチャーコンサルティングファームを経て、コダワリに入社。
様々な業界における企業のDX戦略の策定及び実行支援を経験し、売上・利益向上に向けた戦略策定を得意とする。
  • RSS
  • 著書紹介

  • 図解即戦力 コンサルティング業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書
  • Twitterはじめました
  • メールマガジン登録

    いち早く最新の記事やニュースをお届け致します。登録は完全無料となります。


     

著書紹介

図解即戦力 コンサルティング業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書
Twitterはじめました

おすすめサービス

あなたはどっち派?自分に合う働き方を相談したい

執筆者

K.M
コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルティングカンパニー

外資系総合コンサルティングファーム戦略部門、ベンチャーコンサルティングファームを経て、コダワリに入社。
様々な業界における企業のDX戦略の策定及び実行支援を経験し、売上・利益向上に向けた戦略策定を得意とする。

PICKUP注目記事

  • 送る
  • URLコピー
  • メールマガジン登録

    いち早く最新の記事やニュースをお届け致します。登録は完全無料となります。


     

RANKING人気記事ランキング

一覧

NEWS新着ニュース

一覧

PICKUP注目記事

  • おすすめサービス

  • あなたはどっち派?自分に合う働き方を相談したい

BACK TO TOP

BACK TO TOP