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女性コンサルにはきつい世界?ライフとキャリアを両立できるのか
育児・介護などのライフイベントを迎えたコンサルが直面する働き方とは?
4回に渡ってお届けしている「コンサル×女性」記事の最終回は、「女性コンサルの働きかた」がテーマです。ハードワークというイメージのあるコンサル業ですが、近年では働き方改革が進み、”ライフスタイルに合わせた働き方の選択肢を提供している”といった求人広告も増えてきました。筆者自身も、現役の女性コンサルとして働いているので、リアルな視点で、女性コンサルとしての働き方や、ライフイベントに関連する課題と対応案を考えてみました。ご興味のある方は、ぜひご一読ください!
昨今、ベビーカーを押しながらスーパーで食材を買う男性の姿も珍しくなくなりました。しかし、男女共同参画局によると、“女性が「家事・育児・介護」の多くを担っている現状”となっており、“結婚し子供を持つことで,共働きであろうが専業主婦であろうが「家事・育児・介護時間」は大きくは変わっていないかむしろかつてより増している”そうです。
今回は、現在の日本の実態を踏まえて、女性コンサルと育児・介護をテーマに考察しました。いずれ男性コンサル視点の記事も公開してみたいと思います。
目次
制度面ではサポートが充実しつつある
コンサルファーム各社は、従業員のライフステージに関して、どのような制度を用意しているのでしょうか?
結論としては、各社で用意している内容はほぼ変わらず、休業、休業後の復帰支援制度ともに充実しています。以下に、企業が提示しているラインナップの一部を例示します。
【休暇・休業】
●妊娠中の健康管理のための休暇(用意している会社もあり)
●産前・産後休暇(法定)
●育児休業(法定)
●子の看護休暇(法定)
●介護休業(法定)
●介護休暇(法定)
【休業後の復帰支援】
●時短・短日勤務制度
●育児コンシェルジュ(用意している会社もあり)
●ベビーシッター活用支援(企業内保育、ベビーシッター費用補助、病児保育斡旋など)
●復帰時研修(仕事へのキャッチアップ、キャリア形成支援)
休暇・休業制度に関しては、法定通りの規程がほとんどですが、特に復帰時の支援が充実しているように感じます。
急な外出や親のリフレッシュ、地域によっては保育園不足など様々な理由で保育が必要になった場合のベビーシッター活用支援や、育児の悩みを解消するための育児コンシェルジュなど、実際に子育てをされている同僚からは好評の仕組みが多いと思います。
会社で公式に用意されている制度以外にも、個人の事情によって柔軟に勤務時間を調整できるような配慮がなされるプロジェクトもあるとの声もありました。
例えば、子供のお迎えや急な発熱、ワクチン接種への付き添いなど、事由によっては中抜けを認める(しかも勤務時間としてカウントして良いという許可を出す)こともあるようです。
現に、デロイト、NRI、日立コンサルなど、多くのコンサルファームが、子育てサポート企業として厚生労働大臣認定の「くるみん認定」を受けており、コンサルファームの制度面での充実がみられることが分かります。
さらに、女性活躍推進に積極的な企業を認定する「えるぼし」認定を受けるコンサルファームも増えており、女性コンサルが「子育て×キャリア」の両立を叶えやすい環境が整備されてきているといえます。
具体的にどのコンサルファームが女性活躍推進に注力しているかを知りたい方は、以下の記事からご確認ください。
最大の壁は「収入減」や「社内理解」?制度利用への壁とは
前項で見てきたように、コンサル業界でも育児・介護に対する制度が充実してきていることが分かります。
ただ、これらの制度(特に短時間勤務や短日勤務の制度)を活用している人は、筆者の見ている限り、かなり限定的です。
一体それはなぜなのでしょうか?大きく2つの原因が考えられます。
1.収入の減少
育児関連の事由について見てみると、一般的に、育児休業中は無給となりますが、政府が育児休業給付金の支給を実施しています。
しかし、当然満額支給ではなく、育児休業開始前の給与をベースに6ヶ月までは67%、それ以降は50%分が手当として支給されることになります。また、上限金額が設けられており、67%給付には305,319円、50%給付には227,850円の設定があり、コンサルファームの給与額とは大きな開きが生じるのが現状です。
しかも、初回の入金が出産から4ヶ月後と設定されているため、貯金だけで生活しなくてはならない期間もあります。時短や短日で復帰してしまうと、勤務時間数によって給与が按分されてしまうほか、給与に含まれていたみなし残業代も当然支給されなくなります。
体感で通常時の給与の半額ほどしか手元に入ってこないという声もありました。
そういった状況もあり、復帰時にはお金の心配をして、敢えてフルタイムでの復帰を希望する方もいるようです。
育児休業給付金に関しては、今後金額の引き上げなどの改正が検討されているようです。今後の政府の検討方針も要注目ですね。
2.社内での理解
もちろん、多くの上司の方は、従業員のライフイベントを受け止めてくれ、力になってくれることと思います。
ただ、人によっては、”コンサルは仕事に打ち込んでナンボ”という価値観を持っている方も一部います。そのような方が上司の場合は、職場復帰に苦労するという声も聞かれました。
特に、深夜・早朝問わずクライアントからの依頼で会議が設定される(グローバル案件などは、ある程度仕方ない面もありますが・・・)などの柔軟性を取りづらいプロジェクトの場合は、特に上司の方の介入が必要ですが、結局育児を頑張りつつ、コンサルの仕事もフルタイム以上のパフォーマンスが求められるという、「スーパーマン」のような働き方をする結果になってしまった事例も見てきています。
大切なのは事前の計画と心構え
実際にライフイベントが起こるタイミングで、「収入の面はどうしよう」や「これからの働き方はどうしよう」と考えても、うまく計画通りにはいかないものです。可能な限り事前に情報収集をし、心構えをしておくことが望ましいでしょう。
例えば、ご家庭の事情によって、ご自身とパートナーやご両親の家事負担比率や育児・介護のコミットメント比率は異なるものです。ご自身の状況に応じた制度の使い方について、所属されている会社の人事制度説明会等を通じて確認する、または人事に直接問い合わせてみることもおすすめです。
また、収入の問題や上司の問題も、事前にシミュレーションしておくことで事前に手を打つことができます。
収入に関しては、育児休業給付金の支給額を事前に計算して家計の収支を考えておき、休業時に向けて貯蓄を増やすのがおすすめです。上司の問題も、もし仮に協力的ではない上司・プロジェクトに入ってしまった場合は配置換えを希望することも可能です。もしくは、できるだけ早い段階で信頼できる上司や人事部に相談しておけば、比較的融通の利くプロジェクトを紹介してもらえることもあります。
近年では、こちらの記事にもあるように、女性活躍推進に力を入れるファームが増え、以前よりは協力的な会社も増えてきています。
しかしながら、特に日系のコンサルファームの場合、外資系と比較すると未だ女性管理職比率が低い(=ロールモデルが少ない)状況になっています。そのような状況に置かれた場合、自身がロールモデル / 先駆者となり、事前の計画や環境づくりなどを主体的に行っていくという心の準備もまた必要とされそうです。
ご自身の大切なタイミングですので、できるだけ周到な用意をして臨みたいものですね。
今回は、コンサルのライフイベントと働き方について考えてみました。
「女性コンサル」という形で本稿をまとめましたが、パートナーや家族がいらっしゃる全コンサルの方に通じる内容だと思っています。
所属されている会社が実施されている制度を理解して、最大限サポートを利用しながら、キャリアを諦めずにライフイベントにも専念できる働き方を模索されることを祈っています。
当メディア運営企業では、ライフとキャリアの両立に悩みを抱えるコンサルタントをご支援いたします。
「妻の出産を控えて事業会社への転職も検討してみたい」
「子供が小学校を卒業するまでは柔軟な働き方をしたい」
など、ライフステージに沿った理想の働き方を叶えるために、コンサルファーム運営のエージェントならではのご提案で伴走させていただきます。
お気軽に▶▶こちらからご相談ください。
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執筆者
- 新卒で外資系コンサルティングファームに入社。以来、現在まで一貫してHR領域のコンサルタント、リサーチャーとして活動。2022年に独立。趣味は筋トレとカリンバ。
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- 新卒で外資系コンサルティングファームに入社。以来、現在まで一貫してHR領域のコンサルタント、リサーチャーとして活動。2022年に独立。趣味は筋トレとカリンバ。
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