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SAPコンサル需要が続く理由とは?|SAPってなんやねん? vol.2

SAPコンサル需要が続く理由とは?|SAPってなんやねん? vol.2

日本では2,000以上の企業が導入しているというSAP ERP。その保守サポートが2027年12月に終了することから、近年各企業は取り組みを進めてきました。それに伴い、SAPコンサルは高い需要を保っていますが、今後も衰える気配はありません。本記事ではSAPコンサルニーズが続く理由と引き合いが多いSAPコンサルになる方法を解説します。
~SAPってなんやねん?シリーズ~

SAPの代表的なモジュール一覧

前回、SAPがなぜ企業から支持されるのかご説明いたしましたが、それに加えてモジュールの充実も支持されるポイントと言えます。モジュールが充実しているので、「業種・業界を問わない」という側面や、オンプレミスでもパブリッククラウドでも運用が可能なため「既存のITインフラを問わずに導入できる」というのも、シェアを伸ばしている重要なファクターだと考えられます。

数多く存在するSAPのモジュールですが、代表的なものを下記に並べました。
個々の詳しい説明は避けますが、モジュールはアルファベット2語で略されるものが多く、右記が正式名称となります。

SD 販売管理(Sales and Distribution)
MM 在庫購買管理(Material Management)
PP 生産計画/管理(Production Planning and Control)
PM プラント保全(Plant Maintenance)
WM 倉庫管理(Warehouse Management)
FI 財務会計(Financial Accounting)
CO 管理会計(Controling)
HR 人事管理(Human Resources)
PS プロジェクト管理(Project System)
QM 品質管理(Quality Management)
IM 設備投資管理(Investment Management)
RE 不動産管理(Real Estate)
CA-DMS 文書管理(Document Management System)
CA-CL 分類(Classification)
CA クロスアプリケーション(Cross Application)

※この他にもサブモジュールなども存在します。

モジュール一つにしても専門的なスキルが必要となるため、SAPコンサルが重宝されることとなります。

SAP 2027年問題とは

SAP ERPを導入している企業を悩ませている「2027年問題」について言及致します。

【現行サービスの保守期限切れにより、移行に頭を悩ますユーザー企業】
「SAP2027年問題」とは、第3世代サービスのSAP ERPや同製品を包含したSAP Busiess Suiteなどの保守サポートが、2027年に終了することを指します。

当初は2025年に終了する予定でしたが、期限が2年延長され2027年末までとなった経緯があります。製品ライセンスが無効になるわけではありませんので、現行バージョンのまま運用を続ける方針のユーザー企業もありますが、デザインや機能の更新、システムの品質改善はされなくなりますので、今後の重要な課題として残ります。

前回ご紹介しましたが、SAPは、“SAP R/1”→“SAP R/2”→“SAP R/3”→“SAP ERP”と4世代に渡ってバージョンアップを繰り返してきました。そして現行サービスにあたるのが、”SAP S/4HANA”です。

SAP社は、2027年のSAP ERPサポート終了にあたり、“SAP S/4HANA”への移行を促している訳ですが、ユーザー企業が頭を抱えている問題というのは、この新サービスへの移行に起因しているのです。

【次期サービスからデータベースのマルチプラットフォームを廃止】
SAP社の意向により、今までマルチプラットフォーム対応だったSAP ERPのデータベースが、“SAP S/4HANA”には適用されません。近年、SAP社は“SAP ERP”に対して、機能の詰め込みで肥大化したシステムのリアルタイム性に課題があるとしていました。データ連携のリアルタイム性はERPの概念において重要な要素であり、SAP本来の強みでもあります。

そういった背景から“SAP S/4HANA”には、高速データ処理に特化したデータベース(詳しくは本記事では言及しないことにします)を採用しており、既存のデータベースを切り離してでもユーザー企業に移行するよう促しているのです。

上記は“SAP ERP”に満足しているユーザー企業からすれば、ベンダー都合とも取れる問題です。手間やコストのかかる新システムへの移行に踏み切れない理由の一つでしょう。

いずれにしてもSAP ERP導入済企業は、同モデルを使い続けるか、S/4 HANAに移行するか、または他社の製品に乗り換えるか、今後の選択を迫られているという訳です。

ユーザー企業を悩ませているこの「2027年問題」ですが、冒頭でも触れた通り“SAP S/4HANA”への移行をする企業が多く、結果としてSAPコンサルへの需要増加に拍車をかけています。

SAPコンサル需要の高さ

上述しましたが「SAPが売れていること」、「2027年問題を抱えていること」、「各モジュール導入やABAP開発言語などの専門性の高さ」などから、SAPコンサルに対する需要が高い状態が続いており、SAPバブルとも言える状況でした。

しかし、元々2025年末をエンドに移行に動いていた企業も多く、かつ2027年末も迫ってきていることから、移行が完了したユーザー企業もしくは見込みがついた企業も増えてきており、SAP案件については案件数も単価も落ち着きだしています。

ただし、開発ができる人材は多くいますが、上流フェーズ(要件定義)からできるコンサルは決して多くはなく、引き続き需要は高いと言えます。

SAPコンサルになるには?

SAPコンサル需要が高いことから”アベる”、フリーランスなら”業務委託契約が途切れる”可能性が低く、安定が得られることもあり、「もっと前からSAPを掘り下げてSAPコンサルになればよかった…」などという声を聞くことがあります。それでは、SAPコンサルになるにはどうしたらいいのでしょうか?

<プロジェクト実績を積む>
1つが、ERP導入プロジェクトや基幹業務アプリケーション導入プロジェクトで経験を積み、その経験を生かしてSAP案件に参画をすることでSAPの経験とスキルを上げていく方法です。

ただし、SAPと言っても広範に経験があれば良いわけではなく、プロジェクトごとに各モジュールに特化した人員を求めています。SAP経験があったとしても経験モジュールが違うと専門性が異なるという判断です。あくまで感覚ですが、上記モジュール一覧の「FI・CO」か「SD・MM」のどちらかの組み合わせで経験者が求められるケースが多いです。

<認定資格を取得する>
認定資格を取得する方法もあります。

SAPには、SAP社が主催する認定資格が存在しており、資格取得者はSAP認定コンサルタントとしてグローバル認定されますので、公式に名乗ることができます。

Ξ SAPグローバル認定資格について知りたい方はこちら

試験の種類も無数にあり、日本語で受けられる試験だけでも50種類以上あります。引き合いのある領域を考慮して試験を見極めることも重要です。

種類を大きく分けると下記の3つに分類されます。

アソシエイト: SAPコンサルタントになるために必要な基本的な知識を網羅し、SAPソリューションの幅広い知識とスキルの習得を導く(SAPトレーニングの受講を修了していることが受検資格)
スペシャリスト: アソシエイト認定資格に加えて、特定の役割または統合コンポーネントに重点を置いている(アソシエイト認定資格に合格していることが受検資格)
プロフェッショナル:幅広いSAP案件において、高度な知識やスキルを活かせる(
SAPプロジェクト経験があり、ビジネスプロセスの知識、SAPソリューションを理解していることが受検資格)

とても魅力的な資格ですが、SAPについて深い知識が必要で、簡単に受かるものではありません。

SAP社は知識のインプット方法として、クラスルーム形式で受けられる講義やオンラインで学習できるSAPコンサルタント育成トレーニングなどを主催しています。しかしながら、約17万円~70万円前後の費用がかかり、かつ複数のトレーニングを組み合わせて受ける必要もあるため、資格によってはゆうに100万円以上の費用がかかることもあり、個人で受けるには費用的になかなか難しいところがあります。

SAP案件や、SAP求人案件において、必須の「応募資格」が定義されることはありませんが、SAP認定資格を有していると参画確率もしくは採用確率が上がることは間違いありません。

コンサルファームによっては、研修費用として全額負担してくれるケースもあるようです。ご自身の環境によっては、本気でSAPコンサルを目指ために自己負担するのも選択肢としてはありかもしれません。

Ξ SAP案件をお探しのフリーランスコンサルタントの方はこちら

Ξ SAPの経験を活かした転職をお考えの方はこちら

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執筆者

谷藤 絲音
谷藤 絲音コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルキャリアカンパニー
空手選手として活躍し、フルコンタクト空手道場で正指導員を務める。
その後ITマーケティング企業にて営業部長から事業部マネージャーを経験し、コダワリ・ビジネス・コンサルティングへジョイン。
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その後ITマーケティング企業にて営業部長から事業部マネージャーを経験し、コダワリ・ビジネス・コンサルティングへジョイン。

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