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Big4・アクセンチュアなどの総合系コンサルファームの国内社員数をまとめてみた [2024年度版]
2024年度も成長し続けるコンサル業界。主要総合系コンサルファームの社員数も大きく増加。
これまで毎年更新をしてきました、国内主要総合系コンサルファーム社員数まとめの2024年度版となります。
結論から申し上げると2023年 → 2024年も全体では大きく社員数が増えています。ただ、大きく社員数を伸ばした企業群と、控えめな企業群で二極化した印象です。さらに、マイナスに転じたファームもあり、やはり採用動向は鈍化してきていることが今回明らかになってきています。
採用動向に関する考察は以前にコラムとして寄稿しておりますので、ご興味ある方はご一読下さい。
今回も、国内の総合系コンサルティングファーム各社で比較をしておりますが、あくまで各ファームにおける社員数の増減傾向を比較するものであり、社員数の公開時期にはバラツキがございます。その点をご了承くださいますと幸いです。
目次
日本における主要総合系コンサルファーム社員数2024
下記のグラフは、各ファームの公開情報から得た数値をまとめたものになります。
・デロイト トーマツ コンサルティング 5,111名
(2024年5月末時点 / コーポレイトサイトより)
・PwCコンサルティング 約4,500名
(2023年6月30日時点 / コーポレイトサイトより)
・EYストラテジー・アンド・コンサルティング 4,501名
(2024年4月1日時点 / コーポレイトサイトより)
・KPMGコンサルティング 2,053名
(2024年7月1日時点 / コーポレイトサイトより)
・アクセンチュア 約25,000名
(2024年6月1日時点 / コーポレイトサイトより)
・アビームコンサルティング 8,278名 *連結
(2024年4月1日時点/コーポレイトサイトより)*連結
・ベイカレント・コンサルティング 4,761名
(2024年4月時点 / コーポレイトサイトより)
・クニエ 1,050名
(不明 / コーポレイトサイトより)
・シグマクシス・ホールディングス 708名 *グループ社員数
(2024年8月時点 / 決算補足資料(2024年3月期 第1四半期))
・日立コンサルティング 485名
(2024年2月末時点 / コーポレイトサイトより)
・(おまけ)コダワリ・ビジネス・コンサルティング 29名
(2024年9月時点)
社員数増加の背景と、今後についての考察
各コンサルティングファームの社員数の増加(採用人数拡大)は、高いコンサルティングニーズとコンサルティングビジネスのシンプルな事業構造(コンサルタント数×単価=売上)の表れとなっています。マーケットからニーズがある環境下で事業成長をしようとすると、優秀な人材の確保と増員つまり採用の成功が経営上の重要指標となるわけです。
上場している2社の有価証券報告書内のコメントを見ても、それは明らかです。
株式会社 ベイカレント・コンサルティング
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 優秀な人材の採用と育成
当社は、今後の事業を支える優秀な人材の採用と育成が重要であると認識しております。当社が支援しているあらゆる業界の企業経営者に対する支援サービスは、知識集約ビジネスであり、コンサルタントの提案力や課題解決力の向上が当社の成長に影響すると考えております。そのため、様々なバックグラウンドを持った優秀な人材の採用を進め、各コンサルタントが安心して働きやすい環境・待遇の整備に注力することで、モチベーションの向上に努めてまいります。
(1)当社の事業活動に関連するリスク
② 人材の採用・確保及び育成について
当社は、今後の事業展開のため、優秀な人材の採用・確保及び育成が重要であると考えております。しかしながら、コンサルティング業界における人材の争奪により、優秀な人材の採用・確保及び育成が計画どおりに進まない場合や、優秀な人材の社外流出が生じた場合には、競争力の低下や事業規模拡大の制約、クライアントに提供するサービスレベルの低下をもたらし、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2024年2月期有価証券報告より抜粋)
株式会社シグマクシス・ホールディングス
コンサルティング事業に関するリスク
(11)コンサルタントの確保に関するリスク
コンサルティングサービスは、個々のコンサルタントが保有する高度な知識と専門性が、顧客に対して高付加価値のサービスを提供するための源泉であります。そのため、当社グループは高度な知識と専門性を備えた優秀な人財を採用・育成し、また相応の職位や給与体系を整備することで、人的リソースの基盤構築に取組んでおります。しかしながら、当社グループの求める基準を満たす優秀な人財の採用及び育成が当社グループの計画したとおりに進まなかった場合や、転職等により優秀な人財が流出することで十分な人財を確保できなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、将来的に人財投資コストが増加する可能性があります。
(2024年3月期有価証券報告より抜粋)
人材獲得以外にもリテンションや育成に対する注力も読み取れます。例えば、人材を育成することができなければ、企業成長が頭打ちになるだけでなく、クライアントに提供するサービスの質が低下するリスクもあるからです。そのため、人材投資コストが増加していることも推測できます。
2023年から2024年での増減率と今後の展開
今回の調査では、1社をのぞいた残り全ての企業において、2023年と比較して社員数が増加していることがわかりました。昨年は全体で社員数が平均約15%増加したという結果になりましたが、今年も平均15%の増加となりました。具体的なファームの昨年比は以下の通りです。
昨年同時期に公開している記事に記載の社員数と比較をしております。
・ベイカレント・コンサルティング 129%
・アクセンチュア 119%
・PwCコンサルティング 117%
・KPMGコンサルティング 114%
・EYストラテジー・アンド・コンサルティング 112%
・アビームコンサルティング 110%
・シグマクシス・ホールディングス 107%
・クニエ 105%
・日立コンサルティング 105%
・デロイト トーマツ コンサルティング 97%
採用動向として、以前までのような未経験ポテンシャル人材の積極採用はなくなり、M-upの経験者を各社ほしがっているところです。しかしコンサル経験者は限られ、採り合いの様相を呈していますが、人材が有限な中で如何に経験者採用を成功させるかが、競合する各社の明暗が分かれるところとなりそうです。一方で、今後もサステイナビリティやリスク領域への取り組みなど様々なコンサルティングテーマが拡大していくことが見込まれ、増え続けるコンサル需要に追いつくため、ポテンシャル人材も採用し続けるべきなのか、クライアントへの価値提供にこだわり人材要件を絞っていくのかについては、各ファームの経営判断が分かれるところとなってきます。
執筆者
-
外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
コンサルティングワークもこなす傍ら、人材紹介事業の事業責任者やコダワリの人材開発業務や採用統括業務など含めて幅広に従事。
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外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
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