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コンサルに資格は必要?「中小企業診断士」について考察してみた

コンサルに資格は必要?「中小企業診断士」について考察してみた

資格はいらないといわれるコンサルタント。でも、資格があれば有利になるのでしょうか。コンサル関連資格として取り上げられることの多い「中小企業診断士」について考察してみました。

企業の経営に関わる専門家の中でも、国家資格を必要とする公認会計士や司法書士などの士業とは異なり、コンサルタントには取得しなければならない資格はありません。

また、Big4とアクセンチュアを合わせたBig5などの大手コンサルファームは、基本的にクライアントも大企業であり「中小企業診断士」はマッチしないのでは?とお思いになるかも知れません。

しかし、これからコンサルタントとしてスキルアップを目指す人にとっては有益な側面も。そこで今回は、コンサルが「中小企業診断士」を取得するメリットについて考察してみます。

「中小企業診断士」とは

経済産業省の外局である中小企業庁は、中小企業の育成・発展に関する事務などを執り行う機関。同庁では「中小企業診断士」について、以下のように定義しております。

【中小企業診断士制度について】
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。  
 

【中小企業診断士の業務とその役割について】
中小企業診断士は、企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスが主な業務ですが、中小企業と行政・金融機関等を繋ぐパイプ役、また専門的知識を活用しての中小企業施策の適切な活用支援等幅広い活動が求められています。              

つまり、国内における中小企業を対象とした「経営コンサルタント」として定義されており、コンサル業に関連する唯一の国家資格として位置付けられています。

なお、「中小企業診断士」の資格は、経営コンサルティングに必要な基礎知識や応用力を問う筆記・口述試験、診断実務能力を問う実務従事の3段階のステップを経て取得することが可能です。

「中小企業診断士」の働き方

「中小企業診断士」を取得した人は、どのような働き方をしているのでしょうか。

中小企業診断士試験を実施する指定機関である中小企業診断協会が公開するデータによると、資格取得者の所属先構成比は、

民間企業勤務>個人事業主>コンサルティングファーム

とあります。

これは、個人の実体験とも重なる非常に興味深い結果です。私もコンサルを生業として15年程度が経過しております(某総合系大手コンサルファーム出身)が、コンサルファームで「中小企業診断士」を保有しているメンバーは、ほんの一握りでした。

それよりも、クライアント先(いわゆる大企業)の役員・部長レイヤーの方々が、経営視点を補うために新たに資格を取得していたという記憶があります。

また、「個人事業主」としてフリーランスでコンサル業務を行う方々は、経験・実績+αとして名刺などに資格保有を記載し、より個人を対外的にアピールしやすいといったメリットから資格取得されていることが想定されます。

コンサル業における「中小企業診断士」取得のメリット

では、コンサル業において「中小企業診断士」を取得するメリットとは何でしょうか。

以下、3つの観点から考察します。

1.コンサルファームへの転職
前述のとおり、私個人の見解では、コンサルファームで「中小企業診断士」を保有しているメンバーは決して多くはないと思いますし、これまでの採用活動においても、面接官として、「中小企業診断士」の資格保有をMust/Wantの要件としていたこともありません。

ただし、SIerなどコンサル未経験からのキャリアアップで、コンサルファームへ転職される方の中には「中小企業診断士」を取得される方が一定数います。

体系化された経営知識・スキルを補完するために、コンサルファームへの「転職の武器」として資格を取得することは、一定以上のメリットがありそうです。特に中小企業を対象としたコンサルファームへの転職を考えているのであれば、その効果は尚更かもしれません。

2.デリバリ
「中小企業診断士」に限らず、コンサルの日々の業務において、即戦力を目指して資格を取得するのであれば、ほぼメリットはない気がします(あくまで個人的見解です)。

日々変化する経営課題に柔軟に対応し、論理的に示唆を生み出すコンサル業務において大事なのは、あくまで実践的な「情報分析力」「論理的思考力」「コミュニケーション力」等であり、「資格を取得する=コンサル即戦力」とは必ずしもならないからです。

ただし、コンサルタント自らの幹として「基礎を学ぶ・立ち戻る」という意味では、体系化された知識を身に着けることは、ある程度の意味があるといえるでしょう。

3.セールス
クライアントの立場からすると、コンサルタントは「何者か」が分かりづらい職業です。したがって、コンサルファーム所属/個人事業主を問わず、自身を対外的にアピールする「武器」として、これまでのコンサル実績+αの価値となることはありそうです。

クライアントが日系か外資系かによっても、このあたりの受け止め方は、異なるのかもしれません。

AI時代を生き抜く資格

野村総研と英オックスフォード大学は、2015年12月に公表した共同研究で、専業業務(独占業務)をもつ士業こそ「人工知能(AI)による代替可能性が高い」と指摘しました。

その可能性について、以下のような推測値がリリースされています。

・行政書士:93.1%
・税理士: 92.5%
中小企業診断士: 0.2%

*出典:日本経済新聞「奪われる定型業務」(2017年9月25日)

コンサル業務においては、数値等の「見える」情報を分析する・できることは、当たり前の話ではありますが、組織文化・風土、人間性等の「見えない」情報も加味して思考することが大事な要素です。

また、企業活動を行うのはやはり「ヒト」であるため、「ヒト」に自らの考えを伝える・広げるスキルを持つコンサルタントの要素が、「AIへの代替可能性が低い」という結果に繋がっているのだと想定します。

経営コンサルティングの基礎知識が得られる「中小企業診断士」は、これからコンサルを目指す方や、まだまだ経験年数が浅い方にとっては有益な資格だといえます。

資格取得自体を目的とするのではなく、体系化された学習を通じて、コンサルタントとしての幹をつくり、様々なクライアントとのプロジェクト経験を経て、一人前のコンサルタントになっていくという道筋を描くのであれば、力添えの1つとなるでしょう。

[v157]

執筆者

K.H.
K.H.コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 マネージャ
大手総合系コンサルティングファーム(複数社経験、直近アクセンチュア)での経験を踏まえ、業務改革、IT戦略、DX戦略、間接費削減等のPJにおいて、特に強みを有す。
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